結論

年賀状をやめると決めたのであれば、何も言わずに翌年から途切れさせるのではなく、 最後の一枚にその旨を一言だけ添えておいてください。 受け取る側は理由が分からないと何かあったのだろうかと考え始めますので、 やめること自体よりも、黙って消えることのほうが相手を落ち着かなくさせます。

書き出す前に全員にやめるのか、相手を絞るのかだけは決めておきたいところで、 ここが定まらないまま文面を練り始めると、宛名の一覧を前にしたまま手が止まります。 そして伝えたあとであっても、行き違いで先方から届いたぶんには返しておくほうが、 伝えたこと自体が冷たく響かずに済みます。

伝えたほうがよい理由

年賀状のやり取りは、続いていること自体が近況の代わりになっている面があり、毎年元日に同じ差出人の名前を見つけて去年と同じ字で書かれていれば、それだけで変わりなく暮らしているのだろうと受け取れます。 そういう相手が何人かいるという方は少なくありませんし、その一枚が翌年から急に来なくなると、まず頭に浮かぶのは相手の身の上のほうです。

ここで考えておきたいのは、やめること自体が相手に何かを感じさせるのか、それとも何も言わずに途切れることがそうさせるのかという切り分けで、この二つは似て見えて、こちらが手を打てるのは後者だけになります。 宛名の一覧を眺めながら悩んでいる中身がどちらの話なのかを先に分けておくと、そのあとの判断がずいぶん楽になります。

相手が思い浮かべること実際に起きること
「体調を崩したのだろうか」年賀状しか行き来が無いと、安否そのものが分かりません
「何か気に障っただろうか」心当たりを探させてしまい、余計な気を遣わせます
「引っ越して届かなかったのか」住所を確かめようとして、共通の知人に尋ねる方もいます
「亡くなったのではないか」高齢の相手ほど、まずそこを案じられます

一言添えてあれば、この四つはどれも起きませんが、年賀状をやめること自体を責める人はまずいなくても、理由の分からない空白だけは相手のほうで埋めるしかなくなります。最後の一枚に書いておけば、受け取った側はその場で納得できますし、翌年の元日に郵便受けをのぞいて気を揉むこともありません。

とくに気をつけたいのが、年に一度の年賀状だけでつながっている相手で、携帯電話の番号も知らず住所しか手元にないという間柄は、親の代からの付き合いや、遠方へ引っ越していった同級生とのあいだによく残っています。 その一枚が来なくなると、様子を確かめる手立てそのものが無くなりますので、こちらが思う以上に長い空白になってしまいます。

相手が高齢であれば、こちらが思っている以上に案じられていると考えておくほうがよく、同世代の知らせが年々届くようになる年代では、年賀状が来ないという事実がそのまま悪い想像へつながります。 最後の一枚に理由を書いておくだけで、その心配はまるごと外すことができますし、翌年から郵便受けが静かになっても気に留められずに済みます。

やめ方の選択肢

年賀状をやめると決めたあと、次に詰まるのが住所録を開いたところで、仕事で名刺を交換しただけの相手と、子どもの写真を毎年送ってくれる友人と、親の代から続いている親戚とが同じ一覧に並んでいます。 全部を同じ扱いにしてよいものかどうかで手が止まりますし、枚数が多い方ほど、この段で時間を取られることになります。

分かれ目になるのは、一斉に区切りをつけるのか、それとも相手や手段を選んで残すのかという一点で、伝えやすさと、あとに残る気まずさとが、この選び方によって逆の方向へ動きます。 どちらを選んでも翌年から届く枚数は減っていきますが、正月に顔を合わせたときに残る後味までは同じになりません。

方法向いている場合
全員にやめる年齢や体調を理由にでき、いちばん伝えやすく済みます
相手を絞る仕事関係だけをやめる場合など、書き方に気を配ります
自然に減らす届かなくなった相手から順に、こちらも出さなくなります
別の手段に切り替えるメールや LINE へ移し、やり取り自体は続けていきます

相手を絞るときだけ、書き方がむずかしくなりますので、あなたにはやめますと読める形は避けて、年賀状でのご挨拶は今年でといった全体に向けた言い方にしておいてください。そこだけが強く残ってしまうとあとから打ち消すのはむずかしく、宛名を絞る作業のほうは、文面ではなく手元の一覧の側で片づけるのが確実です。

いちばんつまずくのが、やめる相手と続ける相手とで文面を刷り分けたときで、同じ職場や同じ地域の相手が何人か混ざっていると、正月に顔を合わせたときの世間話でその違いは表に出てきます。 片方だけが年賀状じまいの文面を受け取っていたことも、そこで分かってしまいます。

文面は全員に同じものを使い、送る先だけを一覧の側で決めておくほうが穏やかに収まります。 自分だけがやめられたという受け取られ方さえ避けられれば、枚数を減らすこと自体でこじれる場面はほとんどありませんし、翌年からの行き来も気まずくなりません。

書き方

いざはがきに向かうと、やめるという一行をどこに置くかで手が止まり、冒頭に持ってくると挨拶より用件が先に立ちますし、いちばん最後に小さく添えると読み飛ばされてしまいます。 読み飛ばされれば翌年また同じことを書くはめになりますので、文字数の限られた紙面をどう配るかは、書き始める前に決めておきたいところです。

押さえておきたいのは、四つの要素がそろっているかどうかと、その並び順で、どれか一つが抜けたときに何が起きるかは要素ごとにまるで違います。 抜けやすいところをあらかじめ知っておけば、下書きの段でつまずかずに組み立てられます。

要素内容
1. 通常の賀詞と挨拶最後の年も、いつもどおりの年賀状として書き始めます
2. 感謝長年のご厚情に感謝いたしますと、続いた年月に触れます
3. やめる旨年始のご挨拶は本年をもちましてと、はっきり書きます
4. 関係は続く旨今後も変わらぬお付き合いをと添えて、閉じずにおきます

四つ目が抜けたときだけ、意味がまるで変わりますので、年賀状という形をやめるだけで付き合いのほうは続くと、はっきり書き添えておいてください。三つ目までで終えると縁を切りたいのだろうと読まれることがある一方、理由は高齢によりや諸事情によりの一語で足りますので、そこを詳しく述べる必要はありません。

連絡先を一行入れておくと、四つ目の言葉が形だけではないことが伝わります。 電話番号でもメールの宛先でも構いませんし、いつでも連絡してくださいという一言が添えてあれば、受け取った側は付き合いが切れたわけではないと読み取れます。

最後の年だからといって文面をそっけなくせず、写真も干支の絵柄も例年どおりにしておくほうが、受け取った側はいつもの一枚として読み始められます。 そのなかへ四つ目までを収めておけば、やめるという一行も落ち着いた調子で目に入りますし、長く続いた礼のほうが先に届きます。

例文

要素の並びが決まっても、実際に文字を並べ始めると言い回しのところで迷い、やめますと書けば強すぎる気がする一方、控えさせていただきますでは伝わらないのではないかと考えてしまいます。 短い紙面だけに一語の重さが目立ちますので、清書に入れないまま下書きだけが何枚もできてしまうことも珍しくありません。

文面のむずかしさは、関係を断つ意図が無いことをどう示すかという一点に集まります。 年齢なのか、生活の変わり目なのか、連絡手段の移り変わりなのか、どれを添えるかによって受け取られ方が変わってきます。

場面文例
年齢を理由に謹賀新年
旧年中は大変お世話になりました
誠に勝手ながら 高齢により年始のご挨拶を本年限りとさせていただきます
今後も変わらぬお付き合いをお願い申し上げます
皆さまのご健康をお祈りいたします
理由を書かない謹賀新年
長年にわたるご厚情に心より感謝申し上げます
諸事情により 年賀状でのご挨拶は本年をもちまして失礼いたします
今後ともどうぞよろしくお願いいたします
別の手段に切り替えるあけましておめでとうございます
本年より年賀状でのご挨拶を控えさせていただきます
今後はメールにてご連絡させてください
(メールアドレス)
変わらぬお付き合いをお願いいたします
仕事関係へ謹賀新年
旧年中は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます
社の方針により 本年より年賀状でのご挨拶を控えさせていただきます
本年もよろしくお願い申し上げます

四つの文例で共通して使っているのが、失礼いたしますと控えさせていただきますという言い方です。やめますと言い切るより角が立たず、それでいて意思ははっきり伝わりますので、どの相手にも同じ調子で使えますし、理由を添える一語だけを差し替えれば、そのまま別の場面へ移せます。

理由として何を書くかで、受け取った側の読み方は目に見えて変わります。 高齢によりや社の方針によりのように、こちら側の事情だと分かる言葉が一つ入っていれば、相手個人へ向けた判断ではないとその場で伝わりますので、心当たりを探させずに済みます。

理由を書きたくない年もありますが、そのときは諸事情によりの一語で足り、体調のことも家庭の事情も書き添える必要はありません。 詳しく述べるほど返事のほうでそこへ触れなければならなくなり、かえって相手に気を遣わせることになります。

やめた後

年賀状じまいを伝えた翌年、元日の郵便受けに同じ差出人からの一枚が入っていることがあります。 年末のうちに印刷まで済ませていて行き違いになった場合もあれば、一年のあいだに忘れてしまっていた場合もあり、どちらなのかは受け取った側には分かりませんので、伝えたはずなのにと思いながら宛名を眺めることになります。

迷うのは、いちど伝えた以上そのままでよいのか、それでも返しておくべきなのかという点で、ここを決めておかないと、松の内のあいだ手元に置いたまま日が過ぎていきます。 年賀はがきが手元に無い年であれば、なおさら腰が重くなります。

状況対応
翌年も届いた返しておきます。寒中見舞いの形でも差し支えありません
その後も毎年届く相手の意思ですので、こちらも返し続けて構いません
関係を続けたい電話やメールなど、別の手段のほうへ移していきます
喪中はがきは年賀状とは別のものですので、これまでどおり出します

やめると伝えたあとでも、届いたぶんには返しておくのが基本です。そのままにしておくと、年賀状をやめたというより、こちらを外したのだと受け取られてしまい、伝えたこと自体が冷たく響きますが、一枚返しておくだけで、その読み違いは残りません。

返す形は年賀状でなくても構わず、松の内を過ぎてから気づいたのであれば寒中見舞いにしておけば十分です。 そのなかで年賀状じまいのことをもう一度書き添えておけば、翌年からは同じ行き違いも起きなくなります。

喪中はがきについては年賀状じまいとは切り離して考えるほうがよく、これは年始の挨拶を控えるという知らせであって、年賀状のやり取りそのものとは役割が違います。 年賀状をやめたあとの年に身内の不幸があれば、これまでどおり出しておいて差し支えありませんし、そこで年賀状じまいのことに触れ直す必要もありません。

気をつけたいこと

ここまでの話は、どれも一枚のはがきの上で片がつくものばかりですが、実際には宛名を絞る段や喪中はがきと重なった年に、思わぬところでつまずくことがあります。 いちど投函してしまうと取り消しのきかない紙のやり取りですので、最後に、あとから直しにくい失敗だけをまとめておきます。

見落としやすいのは、その年に伝えてよいのか、それとも一年ずらすほうがよいのかという時期の判断で、文面の出来とは別のところで受け取られ方が変わってしまう場合があります。 同じ文面でも、届いた年によって読まれ方がまるで違ってくることがあります。

やってしまいがちなこと起きること
黙ってやめる相手のほうで理由を探すことになり、心配をかけます
関係は続くと書かない縁を切りたいのだろうと読まれてしまうことがあります
相手によって文面を変える共通の知人のあいだで、その違いが表に出てきます
最後の年をそっけなくする感謝の言葉より、やめる一行のほうが強く残ります
喪中の年に伝える喪中はがきと混ざり、どちらの知らせか分かりません

五つのなかで取り返しがつきにくいのは、喪中の年に重ねてしまった場合です。喪中はがきは年始の挨拶をその年だけ控えるという知らせですので、そこへ年賀状じまいを書き添えると、来年からのことなのか今年かぎりのことなのかが読み分けられなくなります。喪が明けた年の年賀状へ回しておけば、どちらの用件もはっきり伝わりますし、受け取った側も返事に迷いません。

年賀状じまいそのものは、いまでは珍しい判断ではなくなってきており、そのことは公表されている調査からも読み取れます。 帝国データバンクが2025年12月5日から10日にかけてインターネットで行い、1,205社から回答を得た年賀状じまいに関する企業の意向アンケートでは、すでに年賀状じまいをした企業が58.1パーセントに達し、前年の49.4パーセントから8.7ポイント上がりました。

これは個人ではなく企業に意向を尋ねた調査で、実際に投函された枚数を数えたものではありません。 それでも2026年1月分の年賀状を送る企業が29.1パーセントまで下がっていることを踏まえれば、受け取る側にとって年賀状じまいの知らせはすでに見慣れたもので、驚かれることはそう多くないと考えてよさそうです。

親戚への年賀状をやめる場合を見る

年賀状をやめるという判断そのものに、正しいも間違いもありません。 枚数を減らしたい年もあれば、目が疲れて宛名書きがつらくなる年もありますし、連絡の取り方が変わって紙のほうが遠回りになったという場合もあって、 どれも人に説明して許しを得るような話ではありませんし、迷った末に一年延ばしたところで困る人もいません。

決めたあとで気を配る先は、やめる理由ではなく、最後の一枚に何を書いたかのほうです。 これまでの礼を述べて、年賀状という形だけをここで区切ると伝え、付き合いは続くと書き添えておけば、 翌年から郵便受けが静かになっても、相手が気を揉むことはありません。

よくある質問

年賀状をやめるとき、伝える必要はありますか?

最後の年に一言添えてください。黙ってやめると相手は「体調を崩したのか」「何かあったのか」と理由を探します。年賀状が唯一の連絡手段という関係もあり、届かないと安否が分からなくなります。

何を書けばよいですか?

通常の賀詞と挨拶、感謝、やめる旨、関係は続く旨の4つです。とくに最後がもっとも大切で、これがないと「縁を切りたい」と読まれることがあります。年賀状をやめるだけで関係は続くと明記してください。

理由は書くべきですか?

簡潔で足ります。「高齢により」「諸事情により」程度にしてください。詳しく書く必要はありません。

相手によって文面を変えてもよいですか?

避けてください。やめる人と続ける人で文面を分けると、共通の知人の間で分かります。「自分だけやめられた」と受け取られると角が立つため、全員に同じ文面にするほうが穏やかです。

やめると伝えた後も届いたら?

返します。寒中見舞いでも構いません。無視すると、伝えた意味以上に冷たく受け取られます。相手が続けたいなら、返し続けても構いません。

喪中はがきも出さなくてよいですか?

喪中はがきは出します。年賀状とは別のもので、「年賀欠礼」の知らせだからです。

まとめ

  • 最後の年に一言だけ添えておきます
  • 黙ってやめることはしません
  • 今後も付き合いは続くと書き添えます
  • 理由は「高齢により」程度にとどめます
  • 相手によって文面を刷り分けません
  • 連絡先を一行入れて意思を示しておきます
  • 伝えた後も届いたぶんには返します
  • 喪中はがきは別のものとして出します

参考情報

  1. 日本郵便「年賀状(年賀はがき)」
    https://www.post.japanpost.jp/kitte_hagaki/nenga/
  2. 郵便局のネットショップ「贈り物のマナー」
    https://www.shop.post.japanpost.jp/shop/pages/gift_contents_107.aspx
  3. 帝国データバンク「『年賀状じまい』に関する企業の意向アンケート(2025年12月)」(有効回答企業1,205社)
    https://www.tdb.co.jp/report/economic/20251216-newyearcard/

本文で引用した帝国データバンク「『年賀状じまい』に関する企業の意向アンケート(2025年12月)」は、2025年12月にインターネットで1,205社から回答を得たもので、個人ではなく企業の意向を尋ねた調査であり、実際に投函された枚数の集計ではありません。年賀状の受付開始日・元日配達の投函期限は年によって変わります。その年の日本郵便の案内をご確認ください。本記事の日付は例年の目安です。喪中の範囲や賀詞の使い分けには考え方に幅があるため、断定を避けて記載しています。(最終確認:2026年8月)

本記事で紹介している時期や作法は一般的な目安です。年賀状の受付開始日や元日配達の締切は年ごとに変わります。その年の日本郵便の案内をご確認ください。喪中の範囲や過ごし方は、地域・ご家庭・宗派によって考え方が異なります。