結論

帰省の手土産にのしは要りませんので、 持っていく箱はあくまで訪問の心づけであって改まった贈答ではないと考えておけば、 紙袋のまま玄関で手渡してしまって差し支えありません。

掛け紙を付けるのであれば表書きを「御年賀」にしてお年賀として扱うことになりますが、 そのときは実家と義実家で揃えることのほうが先に効いてきますし、 片方だけ丁寧にすれば、正月に顔を合わせた親族の会話でそのうち分かります。

要否の判断表

年末の百貨店で菓子折りを選んだあと、包装台の前で掛け紙をどうするかと聞かれて、 そこではじめて手が止まります。 実家へ提げて帰るだけの箱にわざわざのしを掛けるものなのかどうかは、 毎年その場になってから迷うところです。

のしが要るかどうかは相手との距離で決まりますので、同じ正月の帰省であっても、 実家と義実家とでは扱いが変わってくることがあります。 判断の軸は改まった形にすべき相手かどうかの一点にあり、 同じ実家でも普段どおりの帰省と、結婚してはじめて訪ねる正月とでは違ってきます。

状況のし
実家へ・普段どおりの付き合い不要で、紙袋のまま手渡して差し支えありません
義実家へ・普段どおり付けないままでも差し支えありません
結婚して最初の正月掛けておくと丁寧に映りますので付けておきます
改まった家風その家のやり方に合わせて掛け紙を付けます
親族が集まる場に持参誰から届いた品なのか分かるように付けます
相手が喪中「御年賀」は使わず、無地にするかのしなしにします

のしを掛けないことが失礼にあたるわけではなく、身内への手土産に改まった掛け紙を付けると、かえって改まりすぎて受け取る側が気を遣うことになります。年に何度も顔を出していて普段どおりの行き来になっている家であれば、紙袋のまま玄関で渡してしまってかまいません。

実際に迷うのは義実家のほうで、結婚して最初の正月に何も掛けずに持っていってよいものかと、 売り場で考え込む人は少なくありません。 年に何度も顔を出して普段どおりの行き来になっているのなら付けないままでかまいませんが、 はじめての訪問であれば掛けておくほうが収まりはよくなります。

親族が十人ほど集まる家へ持参する場合は事情が変わり、紙袋から出して座敷の卓に並べてしまえば、 どの箱を誰が持ってきたのか分からなくなります。 掛け紙に表書きと名前が入っていれば受け取った側の手元にそのまま残りますので、 そうした場に限っては付けておくほうが親切です。

のしを付けると何が変わるか

掛け紙を一枚付けるかどうかで、渡したあとの受け取られ方まで変わってきます。 同じ菓子折りでも、紙袋から出しただけの箱と、紅白の水引が刷られた紙の掛かった箱とでは、 玄関で受け取る側の構え方がまるで違います。

のしを付けて「御年賀」と書けば、それは新年の挨拶の品という位置づけになりますので、 相手も改まった贈り物として受け取ることになります。 気軽に開けてその日のお茶うけにしてもらいたいのであれば、付けないほうが自然に収まります。

変わるところ手土産とお年賀の違い
受け取られ方のしなしなら気軽に受け取られ、付ければ改まった贈り物になります
お返しのしなしなら考えませんが、付けるとお返しを考える方もいます
時期のしなしならいつでも渡せますが、お年賀は松の内までになります
翌年以降のしなしなら自由ですが、お年賀は翌年も続けることになります

一度お年賀として渡すと、翌年も同じようにすることになります。途中でやめると今年はないのかと思わせてしまいますので、最後の行だけは先に考えておき、始めるかどうかを一年目のうちに決めてしまうほうが後々らくになります。

掛け紙が付いていると、受け取った側はいったん床の間や仏壇の前へ置いて、 あとから表書きを確かめるという動きになります。 その場で開けて茶の間へ出してもらいたい品であれば、この一手間がかえって重くなりますので、 紙袋のまま渡すほうが場に合います。

お返しを考える方もいるという点も見落としやすいところで、律儀な家では正月の帰りぎわに、 台所から何かしら持たせようとします。 翌年以降も続くことまで含めてはじめの一年で決めてしまうほうが、 あとになって形を軽くするときの気まずさを抱えずに済みます。

両家で揃える

結婚していれば、正月の帰省は自分の実家と義実家の二軒を回ることになります。 同じ日か翌日には両方の玄関をくぐりますので、 それぞれへ何をどういう形で持っていくのかを、夫婦で先に決めておく必要が出てきます。

ここで気をつけたいのが片方だけ掛け紙を付けるという形で、 義実家にはのし付き、実家にはのしなしという差は、親族の会話でそのうち分かります。 のしの有無だけでなく、金額と品物の格まで含めて揃えておくほうが安全です。

決めること揃え方
夫婦で先に決めるそれぞれ自分の実家を基準にしがちですので先に話します
片方の家に習慣があるそちらに合わせて両方の家に付けておきます
のしの有無実家と義実家で同じ扱いにそろえておきます
金額と品物の格どちらの家にも同じくらいのものを用意します
品物そのもの好みに合わせて違うものにしてかまいません
迷ったとき両方とも付けないままで差し支えありません

片方だけ丁寧にすると、あちらには丁寧にしているのにと受け取られることがあります。正月に親族が顔を合わせれば、どこの家にどんな箱が届いたのかという話は自然と出てきますので、そろえておくほうが波風が立ちません。

夫婦で話す前にそれぞれが動いてしまうと、夫は自分の実家の流儀で、妻は自分の実家の流儀で用意することになり、 結果として二軒の扱いがずれます。 買いに出る前に掛け紙をどうするかだけでも決めておけば、 包装台の前で電話をかけて相談するようなことにはなりません。

片方の家に毎年きちんと掛けてきた習慣が残っているのであれば、 そちらに合わせて両方に付けておくほうが早く収まります。 品物のほうは好みに合わせて違うもので構いませんので、 甘いものが苦手な家には佃煮や海苔のように別のものを選んで差し支えありません。

付ける場合の書き方

掛け紙を付けると決めたところで、次は売り場で表書きを何にするかを聞かれます。 水引・表書き・名前の三つを決めれば形は整いますが、 正月の贈り物ですので、いずれも決まった形があります。

とくに表書きは時期で変わるところで、松の内のうちであれば「御年賀」になりますが、 そこを過ぎると別の書き方に切り替えることになります。 相手が喪中かどうかでも変わりますので、渡す日と相手の状況を先に確かめておいてください。

項目決め方
水引何度あってもよい挨拶ですので紅白の蝶結びにします
表書き「御年賀」にするか、軽くするなら「粗品」にします
かけ方玄関で手渡しますので外のしにします
名前姓だけにするか、夫婦の連名で書きます
喪中のとき無地にするか、表書きを入れずに渡します

表書きを「粗品」にすることもできます。「御年賀」より軽い印象になりますので、身内へ渡すときや、いつ渡すことになるか読めない場合に向きますし、時期を問わずに使えるという点が「御年賀」との違いになります。

売り場で外のしか内のしかと尋ねられたら、外のしと答えておけば外れません。 玄関先で紙袋から出してその場で手渡す品ですので、 包装紙の上から掛けておかないと、表書きが相手の目に入らないまま茶の間へ運ばれてしまいます。

名前は姓だけでも足りますが、夫婦そろって訪ねるのであれば連名にしておくと、 どちらの側から届いた品なのかがはっきりします。 相手が喪中の年は「賀」の字が祝いを意味しますので「御年賀」は使わず、 無地の紙にするか、表書きを入れないまま渡してください。

お年賀ののしを詳しく見る(図解あり)

迷ったとき

ここまで読んでも、自分の家がどれに当てはまるのか決めきれないことはあります。 とくに結婚して間もない時期は、義実家の家風がまるで分からないまま、 暮れの買い物へ出ることになります。

迷いどころは義実家の家風が読めないことと、一年目にどう始めるかの二つに集まっていて、 どちらも売り場で考え込むより先に片づけておけます。 二年目からは前の年をなぞればよいだけですので、本当に悩むのは最初の一回だけです。

迷う場面判断
義実家の家風が分からない配偶者に聞くのがもっとも確実です
結婚1年目付けておくと丁寧で、後から軽くもできます
2年目以降前の年に合わせておけば迷いません
どちらでもよさそう付けないままで差し支えありません
店で聞かれたとき帰省の手土産だと伝えれば形を提案してもらえます

丁寧にしすぎて困ることはないというのが贈り物の原則ですが、お年賀はここが例外になります。一度始めると翌年以降も続くことになりますので、丁寧かどうかではなく、来年も同じことをするつもりがあるかどうかで決めてください。

義実家の家風はこちらから探るより、配偶者にひとこと聞いてしまうのがいちばん早く、 自分の育った家のやり方であれば覚えています。 結婚一年目であれば付けておくほうが丁寧に映りますし、 あとから軽くすることはできても、その逆は言い出しにくくなります。

百貨店や菓子店で買うと、包装台で店員さんから必ずのしをどうするか尋ねられますので、 家を出る前に決めておけば、その場で答えられます。 決めかねているのであれば帰省の手土産だと伝えるだけで、 店員さんのほうからその場に合った形を提案してくれることもあります。

帰省の手土産に掛け紙を付けるかどうかに決まった正解があるわけではなく、 その家との普段の行き来と、改まった家風かどうかを見て決めればそれで足ります。 年に何度も顔を出している実家であれば紙袋のまま渡して十分ですし、 結婚してはじめての正月であれば、表書きを入れておくほうが場に合います。

どちらを選んでも変わらないのは、実家と義実家で扱いをそろえることと、 一度お年賀にしたら翌年も続くと考えておくことの二つだけで、 この二つさえ押さえていれば細かい形を思い出せなくても角は立ちません。 受け取る側にとっても、毎年同じ形で届くほうが構えずに受け取れますし、 こちらも暮れの売り場で包装台の前に立ち止まらずに済みます。

よくある質問

帰省の手土産にのしは必要ですか?

不要です。帰省の手土産は訪問の心づけであって改まった贈答ではありませんので、紙袋のまま玄関で手渡して差し支えありません。身内への手土産に掛け紙を付けると、かえって改まりすぎて受け取る側が気を遣うことがあります。

のしを付けると何が変わりますか?

「手土産」から「お年賀」に変わり、新年の挨拶の品という位置づけになりますので、相手も改まった贈り物として受け取り、お返しを考える方もいます。渡す時期も松の内までに限られますし、一度お年賀として渡すと翌年もそうすることになり、やめると今年はないのかと思わせてしまいます。

実家と義実家でのしの有無を変えてもよいですか?

揃えてください。義実家にはのし付き、実家にはのしなしという差は親族の会話でそのうち分かりますし、あちらには丁寧にしているのにと受け取られることがあります。のしの有無だけでなく、金額と品物の格まで含めて同じにしておくほうが安全です。

付ける場合の書き方は?

水引は紅白の蝶結びで、表書きは「御年賀」または「粗品」にし、玄関で手渡しますので外のしにします。名前は姓だけか夫婦連名です。「粗品」は「御年賀」より軽い印象になりますので、身内へ渡すときや、渡す時期が読めないときにも向きます。

結婚1年目はどうすればよいですか?

付けておくと丁寧です。あとから軽くすることはできますが、その逆は言い出しにくくなりますし、義実家の家風が分からないのであれば配偶者に聞いてしまうのがもっとも確実です。ただし翌年以降も続くことになりますので、そこまで考えてから決めてください。

相手が喪中の場合は?

「御年賀」は使いません。「賀」の字が祝いを意味するためで、無地の紙にするか、表書きを入れずにのしなしのまま渡してください。品物そのものを控える必要はありません。

まとめ

  • 帰省の手土産にのしは要りません
  • 付けると手土産ではなくお年賀になります
  • お年賀にするとお返しを考える方もいます
  • 一度始めると翌年以降も続けることになります
  • 実家と義実家で扱いをそろえます
  • 付けるなら紅白の蝶結びに外のしで用意します
  • 「粗品」にすると軽い印象になります
  • 迷ったときは付けないままで差し支えありません

参考情報

  1. 郵便局のネットショップ「贈り物のマナー」
    https://www.shop.post.japanpost.jp/shop/pages/gift_contents_107.aspx
  2. 三越伊勢丹「のし紙とかけ紙の正しいマナー」
    https://www.mistore.jp/gift/manner/knowledge/noshi_mizuhiki/article/noshi_manner.html
  3. 高島屋「進物の基礎知識」
    https://www.takashimaya.co.jp/giftnavi/shinmotu_01.html

お年賀の時期(元日〜松の内)、紅白の蝶結びを使う点は、参照した情報源で共通しています。松の内の日付や喪中の扱いには地域差・家庭差があるため、本記事では幅をもたせて記載しています。

本記事で紹介している金額や作法は一般的な目安です。地域・ご家庭・宗派によって異なります。とくに喪中の過ごし方は考え方に幅があります。ご親族やお寺・神社にご確認ください。