結論
送り状は品物より2〜3日早く届くように出しておきます。 何の知らせもないまま宅配便の箱が届いてしまうと、 受け取った方は誰から何が来たのかを、封を切ってから知ることになるためです。
目上の方や取引先には出すほうが丁寧で、 親しい間柄なら省略も一般的になりました。 文面は時候の挨拶・日ごろのお礼・品を送った旨・結びの4つがあれば形になります。
必要かどうか
百貨店の売り場で配送の手続きを済ませたあと、 はがきを一枚出すべきかどうかで手が止まることがあります。 毎年やり取りのある相手ならなおのこと、 去年は出したような気もするし出していないような気もする、という状態で迷います。
判断の軸になるのは相手との間柄だけで、 本来は必ず出すものでしたが現在は省略されることも増えていますので、 目上の方や取引先には出し、身内や親しい相手には省く、という線を引いておけば迷いません。
| 送り状があると | 受け取る側にとっての意味 |
|---|---|
| 誰から届くか分かる | 内のしだと、箱を開けるまで差出人が分かりません |
| 受け取りの準備ができる | 要冷蔵の品なら、冷蔵庫を空けておけます |
| 用件が伝わる | 何のお礼で贈られた品なのかが分かります |
| 近況が伝わる | 品物より、そちらのほうが喜ばれることもあります |
送り状が果たしているのは、贈り物そのものではなく「予告」の役割です。本来、贈り物は持参するものでしたので、配送で届ける場合には「伺えないので送ります」と先に伝える必要がありました。身内であれば、電話やメッセージで「送ったよ」と伝えるだけでその役目は果たせます。
そもそもお中元を贈る人そのものが年々減ってきていて、 マイボイスコム株式会社が2024年9月1日から7日にかけて9,243名から回答を得た インターネット調査では、その年にお中元を贈った人は約33%で、 2017年の調査時点の4割から下がり続けています。
同じ調査で、贈った相手は「その他親戚」が4割強と最も多く、 贈る理由の1位は「感謝の気持ちを表す」で5割強でした。 やり取りの中心が親戚づきあいにあるのなら、 堅い形式の送り状より、電話一本のほうが趣旨に合う相手も多いということになります。
出すタイミング
出すと決めたあとに迷うのが投函の日で、 品物の手配と送り状の投函は別々に動きますので、 どちらを先にするかを決めておかないと、 気づいたときには箱のほうが先に着いていた、ということが起こります。
軸になるのは品物より先に届くかどうかの一点で、 同時でも後でも予告としての意味は薄れてしまいますので、 品物の到着日を決めた時点で、そこから逆算して投函の日を押さえてしまいます。
| 状況 | タイミング |
|---|---|
| 基本 | 品物の2〜3日前に届くよう、逆算して投函します |
| 同時になりそう | 先に着けばよいので、そのまま出して差し支えありません |
| 間に合わない | 電話やメッセージに切り替えて、先に伝えます |
| 品物に同梱する | 予告にはなりませんが、無いよりは伝わります |
| 取引先 | 必ず先に届くよう、日を指定して手配します |
投函してから相手に届くまで数日かかることを見込んでおいてください。翌日には届くつもりで出してしまうと、品物と同じ日に着いたり、後になったりします。品物の到着日を先に決め、そこから3日ほど前を投函の目安にすると、余裕をもって間に合います。
うっかりしやすいのは、注文した時点では到着日が確定していない場合です。 店の混み具合によって出荷が前後することがありますので、 注文票の控えに書かれた到着予定日を確かめてから、 はがきの投函日を決めると行き違いになりません。
間に合わないと分かったら、無理にはがきを出すより 電話やメッセージで先に伝えるほうが役に立ちます。 「〇日ごろに届くよう手配しました」と伝わっていれば、 受け取る側は在宅の予定を組めますし、冷蔵庫の場所も空けておけます。
書く内容
いざ書こうとして、便箋を広げたまま手が止まることがあります。 手紙の形式にきちんと従うと文面はどうしても長くなりますし、 はがき一枚では書ききれずに文字が小さくなっていく、というのもよくある展開です。
分かれ目は封書にするか、はがきにするかで、 封書なら頭語と結語を入れて手紙の形にしますが、 はがきならその二つを省いて構いませんので、書く要素そのものが減ります。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 1. 頭語 | 封書なら「拝啓」と書き、はがきでは省いて構いません |
| 2. 時候の挨拶 | 「盛夏の候」「暑さ厳しき折」などを置きます |
| 3. 日ごろのお礼 | 「平素は格別のお引き立てを賜り」などと続けます |
| 4. 品を送った旨 | 「心ばかりの品をお送りいたしました」と伝えます |
| 5. 結びの挨拶 | 「ご自愛ください」「今後ともよろしく」で締めます |
| 6. 結語 | 頭語を使った場合だけ「敬具」で受けます |
はがきで出すのであれば、頭語と結語は省いてしまって構いません。時候の挨拶、日ごろのお礼、品を送った旨、結びの4つがそろっていれば送り状として形になりますので、便箋二枚にわたるような長さは要りませんし、相手が読むのに30秒とかからない分量で十分に伝わります。
書き出しでつまずいたときは、時候の挨拶から入らずに 「暑い日が続いておりますが」と体調を気づかう一文から始めても構いません。 決まった型に寄せようとするほど手が止まりますし、 親しい相手には、かえって硬く読まれます。
逆に、取引先や恩師への封書では型を崩さないほうが読みやすくなります。 頭語から結語まで並べておけば、 受け取った側は文面を追わなくても用件の位置がすぐ分かりますので、 整った形そのものが読む負担を減らしてくれます。
相手別の例文
要素が分かっても、それを実際の文章にする段になると手が止まります。 とくに取引先へ出す封書は、社名を書いた便箋を前にして、 どこまで丁寧にすればよいのかの加減がつかめません。
違いが出るのは形式をどこまで残すかで、 取引先は型どおり、親しい相手は日常の言葉、というように振り分けてしまえば、 同じ内容でも相手に合った文面になります。
| 相手 | 例文 |
|---|---|
| 取引先へ(封書) | 拝啓 盛夏の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。つきましては、日ごろの感謝のしるしとして、心ばかりの品を別便にてお送りいたしました。ご笑納いただければ幸いに存じます。暑さ厳しき折、皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。 敬具 |
| 上司・恩師へ(はがき) | 暑さ厳しき折、いかがお過ごしでしょうか。日ごろは何かとお心にかけていただき、ありがとうございます。日ごろの感謝の気持ちとして、心ばかりの品をお送りいたしました。お納めいただければ幸いです。ご自愛のうえ、お過ごしくださいませ。 |
| 目上の親族へ(はがき) | 暑い日が続いておりますが、お変わりございませんか。こちらは家族そろって元気に過ごしております。日ごろのお礼にと、心ばかりの品をお送りしました。よろしければ皆さんで召し上がってください。どうぞご自愛ください。 |
| 親しい相手へ(メッセージ) | 暑いね。〇日ごろに届くように送ったので、よかったら食べてください。冷蔵なので受け取ったら冷蔵庫へ。返事は気にしないでね。 |
相手が誰であっても、書いている内容そのものは同じ4つです。時候の挨拶にあたる部分が「盛夏の候」から「暑いね」に変わり、品を送った旨が「ご笑納いただければ」から「よかったら食べてください」に変わっているだけですので、型を覚え直す必要はありません。
使うときは、そのまま写すのではなく 相手との間柄に一つだけ触れると文面が生きます。 恩師なら在学中に世話になった場面、親族なら前に会ったときのことを一行入れるだけで、 印刷したような文面ではなくなります。
親しい相手に送るメッセージでは、 返事を求めない書き方にしておくと相手が楽になります。 「返事は気にしないでね」の一文があるだけで、 受け取った側はお礼をいつ返すかを気にしないで済みます。
メール・メッセージの場合
はがきを買いに行く時間が取れないまま、発送日が近づくことがあります。 メールやメッセージで代えてしまってよいのか、 相手によっては失礼にならないかで判断がつきません。
手段より優先されるのは届く日が伝わっているかで、 とくに要冷蔵や要冷凍の品では、 受け取れないまま宅配ボックスや玄関先に置かれると、そのまま傷んでしまいます。
| 相手 | 向き不向き |
|---|---|
| 取引先 | 会社の慣例に従います。メールで済ませる会社も増えました |
| 上司 | ふだんメールならそれでも可ですが、はがきのほうが丁寧です |
| 目上の親族 | はがきにしておくほうが無難です |
| 両親・友人 | メッセージで十分に伝わります |
要冷蔵のものを送るときは、手段を問わず必ず連絡を入れてください。受け取れないまま玄関先に置かれると品物が傷みますので、形式を整えることより、到着日を伝えることのほうがよほど親切です。日時指定をしているのであれば、その日時をそのまま文面に書き写しておいてください。
メールで出す場合も、書く要素そのものは変わりません。 件名に「お中元をお送りいたしました」と用件を入れておきさえすれば、 受信箱を上から追っている相手が、開かなくても内容をつかめます。
迷ったときは、ふだんその相手とどうやり取りしているかに合わせます。 年に一度しか連絡しない相手に突然メッセージを送るより、 いつも電話でやり取りしている相手なら電話のほうが伝わりますし、 毎日メールを交わしている相手なら、そのままメールで差し支えありません。
書かないほうがよいこと
短くまとめようとしても、丁寧にしようとするほど余計な一文が増えていきます。 へりくだった言い回しを重ねたり、 選んだ品の説明を書き足したりして、はがきの余白が埋まっていく場面です。
共通しているのは相手に気を遣わせる内容という点で、 値段に触れる文も、恩に着せる文も、 読んだ側に「では何を返せばよいのか」と考えさせることになります。
| 避けること | 理由 |
|---|---|
| 品物の値段 | 相手に返礼の額を考えさせることになります |
| 「高価なものではありませんが」 | 結局は値段の話を持ち込むことになります |
| 恩着せがましい表現 | 「いつも私ばかり」といった書き方は残ります |
| お返しの催促 | お返しは不要が前提ですので、書きません |
| 長い近況報告 | 読む負担になります。数行で十分に伝わります |
| 重ね言葉 | お祝い事ではないので厳密ではありませんが、避ける方もいます |
品物については「心ばかりの品」という一言だけで十分です。値段の説明も、へりくだりすぎる表現も要りませんし、それらを削ったところで文面が素っ気なくなることはありません。短く、感謝を伝えることだけに絞ってください。
とくに削りたいのが近況報告で、 家族の写真の話から仕事の話まで書き連ねると、 受け取った側は返信の分量に悩むことになります。 「こちらは家族そろって元気にしております」の一行で足ります。
なお、お中元やお歳暮のやり取りそのものが年々細っていることは調査にも出ていて、 ハルメク 生きかた上手研究所が2025年10月に全国50〜87歳の女性579名へ 郵送の質問用紙で尋ねた調査では、 「お中元・お歳暮」は2017年の調査から18.1ポイント減と、 贈り物のなかで最も大きく減っていました。
送り状に唯一の正解があるわけではなく、 相手が目上かどうかと、品物が届く日が伝わっているかどうかの二つを見て、 いちばん収まりのよい形を選べばそれで足ります。 取引先や恩師には封書で型どおりに、身内には電話一本で、 親しい友人にはメッセージで「〇日ごろ届くよ」と伝えれば、それで役目は果たせます。
どの相手でも変わらないのは、品物より先に知らせておくことの一点だけで、 これさえ守っていれば、時候の挨拶や結語を思い出せなくても失礼にはなりません。 受け取る側にとっても、何がいつ届くのか分かっていることのほうが助かります。
よくある質問
お中元に送り状は必要ですか?
相手によります。目上の方や取引先には出すほうが丁寧で、身内や親しい相手なら省略も一般的になりました。省く場合も、電話やメッセージで「送りました」と伝えておけば、送り状の役目は果たせます。
いつ出せばよいですか?
品物より2〜3日早く届くように出します。投函から到着まで数日かかりますので、品物の到着日を決めてから逆算してください。同時や後になると、予告としての意味が薄れます。
何を書けばよいですか?
時候の挨拶、日ごろのお礼、品を送った旨、結びの4つで形になります。封書なら頭語「拝啓」と結語「敬具」を添え、はがきならその二つは省いて構いません。長く書く必要はありません。
メールやLINEで代えてもよいですか?
相手によります。取引先は会社の慣例に従い、上司はふだんメールならそれでも可ですが、はがきのほうが丁寧です。目上の親族にははがきが無難で、両親や友人にはメッセージで十分です。
書かないほうがよいことはありますか?
品物の値段、「高価なものではありませんが」という言い回し、恩着せがましい表現、お返しの催促、長い近況報告は避けます。いずれも相手に気を遣わせ、返礼の額を考えさせることになります。
要冷蔵のものを送るときは?
手段を問わず必ず連絡を入れてください。受け取れないまま玄関先に置かれると傷みます。形式を整えるより、到着日を伝えることのほうが親切です。日時指定をしているなら、その日時を書いておきます。
まとめ
- 送り状は品物より2〜3日早く届くように出します
- 目上の方や取引先には出しておきます
- 身内には電話やメッセージで足ります
- 時候の挨拶・お礼・送った旨・結びの4つで書きます
- はがきなら頭語と結語を省いて構いません
- 品物の値段には触れません
- 要冷蔵のものは必ず到着日を伝えます
参考情報
- 郵便局のネットショップ「お中元の熨斗(のし)のマナー|水引の種類と結び方、正しい表書き」
https://www.shop.post.japanpost.jp/column/ochugen/ochugen_noshi.html - 高島屋「進物の基礎知識」
https://www.takashimaya.co.jp/giftnavi/shinmotu_01.html - 三越伊勢丹「のし紙とかけ紙の正しいマナー」
https://www.mistore.jp/gift/manner/knowledge/noshi_mizuhiki/article/noshi_manner.html - マイボイスコム株式会社「お中元に関するアンケート調査(第6回)」(2024年9月1日〜7日実施・インターネット調査・有効回答9,243名)
https://myel.myvoice.jp/products/detail/31411 - 株式会社ハルメク・エイジマーケティング ハルメク 生きかた上手研究所「贈り物に関する意識・実態調査2025」(2025年10月15日〜20日実施・郵送での質問用紙配布・全国50〜87歳女性579名)
https://www.halmek-holdings.co.jp/news/insights/2025/rz-uwxbgz61/
マイボイスコムの調査は自社のネットモニターが対象で、回答者の年代が50〜70代に大きく偏っています。ハルメクの調査は雑誌の読者組織に属する50〜87歳女性のみが対象で、2017年との比較は同一条件の調査ではありません。お中元にお返しは不要でお礼状を出すこと、送り状は品物より先に届くように出すこと、手渡しは紙袋から出して渡すことは、参照した情報源で共通しています。送り状を省略してよいかは相手との関係によるため、本文では相手別に整理しています。
本記事の例文はそのまま使えることを目指した目安です。相手との関係や状況によって、ふさわしい言い方は変わります。会社としてのやり取りでは、自社の慣例を優先してください。