結論

お歳暮はもともと目下から目上へ贈る形で広まった習わしなので、 受け取った側が同じ品を贈り返す必要はなく、一方通行のままで問題ありません。 結婚祝いや出産祝いのように内祝いを返す決まりがある贈り物とは、そもそも成り立ちが違います。

毎年こちらから贈っているのに何も返ってこないことも、 反対にいただくばかりで何も返していないことも、どちらも失礼にはあたりません。 大切なのは品物を揃えることではなく、届いたことへのお礼がきちんと相手に伝わっているかどうかだけです。

返らなくてよい理由

お中元やお歳暮の箱を毎年送っていると、届いたという電話は来るのに品物は返ってこない年が続き、 これでよかったのだろうかと気になってきます。 反対に、義理の実家から毎年立派な詰め合わせが届くのに、 こちらからは何も送っていないという形が何年も続いている家もあります。

どちらの側に立っていても引っかかるのは同じところで、 贈り物は釣り合っていなければ角が立つのではないかという心配ですが、 お歳暮に関してはその心配が要りません。 贈り物のなかには返すことが組み込まれているものとそうでないものがあり、 お歳暮は後者にあたるためです。

贈り物返し方
お歳暮・お中元 日ごろの感謝を伝える品なので、贈り返す決まりがありません
結婚祝い・出産祝い いただいた額の半分ほどを内祝いとしてお返しします
お年賀・手土産 訪ねた先へ持参する品で、その場で受け取ってもらえば済みます
香典・弔事の供物 香典返しという形で、忌明けにあらためてお返しが届きます
お歳暮へのお礼 品物ではなく、電話や手紙で気持ちを伝えるのが本来の形です

表のうち返礼が決まっているのは慶弔にかかわる贈り物だけで、これは受け取った事実を親族や近所に知らせる意味も兼ねているため、形が細かく決まっています。お歳暮にその仕組みがないのは、季節ごとに繰り返す挨拶であって、一度きりの出来事に対する贈り物ではないからです。

実際に多いのは、取引先や恩師のように立場がはっきり上の相手へ贈っている場合で、 こちらが目下である以上、先方から同じ品が返ってくるほうがかえって落ち着きません。 受け取った側は礼状や電話で謝意を伝えることで応えており、 それが本来の返し方だと考えている家庭も少なくありません。

ですから返ってこないことを不義理と受け取る必要はなく、 こちらが贈り続けたい相手であるかどうかだけを毎年の判断にすれば足ります。 送り状に一年の礼を短く添えておけば、品物が行き来しなくても気持ちのやり取りは成り立ちます。

贈ってばかりの場合

デパートの外商や通販の画面で毎年同じ相手を選び、送り状を書き終えたあとにふと、 この家はもう受け取るのを面倒に感じていないだろうかと気になることがあります。 相手からは毎年きちんと礼状が届くのに品物だけが返ってこないという形が続くと、 その礼状の丁寧さがかえって判断を難しくします。

見るべきなのは品物が返ってきたかどうかではなく、 届いたことに対する反応が毎年あるかどうかで、 この一点だけで相手の受け止め方はおおよそ分かります。 電話が一本入るのか、礼状が来るのか、それとも何の音沙汰もないのかで、次の年をどうするかの見当がつきます。

気になること考え方
失礼だと思われている? 返す習慣がないだけのことがほとんどで、心配は要りません
迷惑になっている? お礼の連絡が毎年あるなら、受け取る側も歓迎しています
やめたほうがよい? こちらが続けたい相手なら、そのまま続けて構いません
額が重くなってきた 無理のない額まで下げれば、贈ること自体は続けられます
お礼の連絡もない まず配送状況を調べ、そのうえで来年を考えます

最後の行だけは受け取り方が変わり、お礼の連絡すら来ないときは、そもそも品物が届いていない事故を先に疑うほうが確実です。転居や長期の不在で受け取られないまま倉庫に戻っている例は珍しくなく、配送業者の記録を調べれば数分で分かります。

贈り続けるかどうかで実際に効いてくるのは相手の反応よりも自分の家計のほうで、 五千円の品を十軒に送れば正月前の出費としてはかなりの額になります。 負担が重いのに義務のように続けていると、選ぶ時間も贈る気持ちもすり減っていきます。

そういうときは相手ごとに額を見直すのが現実的で、 三千円ほどの菓子や飲料に落としても、季節の挨拶としての意味はまったく変わりません。 高い品を無理に続けるより、同じ相手へ毎年届き続けることのほうが、受け取る側の記憶には残ります。

もらってばかりの場合

玄関先で受け取った紙袋の重さに、今年もいただいてしまったという気持ちになる方は多く、 こちらからは何も送っていないとなればなおさら落ち着きません。 同じ額の品を選んで送り返そうと売り場を歩き回るうちに、その年の暮れが慌ただしくなっていきます。

ところが同じ品を返してしまうと、贈った側には気を遣わせたという心残りが生まれ、 翌年から額を下げようかという別の悩みを相手に渡すことになります。 迷いどころは返すか返さないかではなく、 何をもって受け取った側の返事とするかにあります。

やること目安
お礼を伝える 届いてから二、三日のうちに電話か手紙で知らせます
品物を返す 必要ありませんので、無理に用意しなくて構いません
家族の声を添える 子どもが喜んだ様子まで書くと、贈った側に届きます
何を送ればよいか迷う 品物より、先に届く一本の電話のほうが喜ばれます
お礼が遅れた 気づいた時点で、遅れた理由を添えて伝えます

お礼を急ぐのは形式のためではなく、贈った側が無事に届いたかどうかを気にしているからで、宅配の追跡だけでは相手の口に合ったかまでは分かりません。二、三日のうちに一本電話を入れておけば、贈った側はそこで安心して、その年のやり取りが終わります。

気が重くなるのは、返さないことよりも、返さない自分をどう説明するかで悩む時間のほうです。 贈った側は返礼を待っているわけではなく、 去年と同じように今年も送れたことのほうを気にしていますから、こちらが構える必要はありません。

どうしても何か返したい相手であれば、 暮れではなく年が明けてからお年賀として持参する方法があり、こうすれば返礼という形になりません。 表書きは御礼としておけば、お歳暮を贈り合う関係を新しく始めることにもなりません。

お礼の伝え方を詳しく見る

負担なら断れます

毎年届く品を負担に感じ始めるのは、相手に不満があるからではなく、 そのたびにお礼状を書き、返礼を考え、置き場所を空ける手間が積み重なるからです。 量の多い生鮮品や日持ちのしない菓子が続くと、 ありがたさより先に、今年はどうしようという気持ちが立ちます。

辞退そのものは失礼ではありませんが、伝え方を誤ると、 贈り物ではなく相手そのものを断ったように受け取られるところが難しい点です。 同じ内容でも、何をきっかけに、どの順番で伝えるかで、残る印象がまるで変わります。

伝え方伝わり方
お礼状に添える どうぞお気遣いなさいませんようにと一行入れておきます
同額程度を返す 遠回しですが、これで意図が伝わる相手も多くいます
直接伝える 感謝を先に述べてから、次からは不要だと続けます
立場上受け取れない 勤め先の規定によるものだと説明すれば納得されます
受け取らずに返送する 強い拒絶として伝わるので、この形は取りません

どの伝え方を選ぶにしても、辞退を切り出すのは品物が届いた直後ではなく、お礼を済ませたあとに一呼吸おいてからにしてください。届いた当日に断ると受け取り自体を拒まれたように響きますし、翌年の手配が始まる前に伝われば、相手は無理なく先を変えられます。

実際にありがちなのが、断ったつもりの一言が伝わらず、 翌年もまた同じ時期に同じ品が届いてしまう形です。 お礼状の末尾にそっと添えた一行は、読み流されることもありますし、 社交辞令として受け取られることも少なくありません。

二年続けて届いたときは、お礼状に一行添えるより、電話で直接伝えるほうが結局は角が立ちません。 いつも本当にありがたいのですがと感謝を先に置いてから、 来年からはどうぞお気遣いなくと続ければ、相手も無理なく引き下がれます。

新たに贈るか

いただいたことをきっかけに、来年からはこちらも贈ろうかと考えるのは自然なことで、 とくに相手が親戚や仕事の付き合いだと、そのままでよいのか迷います。 デパートの売り場でカタログを開き、金額の欄を見比べながら決めきれずに帰る、 という年末を何度か過ごした方もいるはずです。

ここで効いてくるのは品物の中身ではなく、 相手とこちらのどちらが目上にあたるかという一点で、 これによって始めるべきかどうかが変わります。 もう一つ、今年だけで終わるのか毎年続けられるのかという見通しも、始める前に確かめておく必要があります。

状況目安
相手のほうが目上 贈らなくてよく、お礼を伝えるだけで足ります
対等な関係 贈り合う形にしてもよく、額は同じくらいに揃えます
相手のほうが目下 返すなら表書きを御礼に変えて贈るのが通例です
今後も続けられるか不安 始めないほうが無難で、お礼状だけにとどめます
一度だけ礼をしたい 暑中見舞いや年賀状で、その年のうちに気持ちを伝えます

表のどの行を選ぶかより先に考えたいのは、お歳暮が一度始めると相手の暮れの予定に組み込まれる贈り物だという点で、翌年に届かないと相手はまず届け忘れを疑います。始めるかどうかは、五年先も同じ関係が続いているかを思い浮かべてから決めるほうが、あとで困りません。

もらったからすぐ同額を返すという形は、丁寧に見えて、実は相手に負担をかけたという気持ちを残します。 贈った側は感謝を伝えたかっただけなので、 同じ額の箱が折り返し届くと、次の年から何を選べばよいのか分からなくなります。

はじめての年は、贈るかどうかを決めきらずにお礼だけを丁寧に伝えておき、 二年目に同じことが続いたら考えるという進め方でも遅くありません。 お歳暮は毎年めぐってくるものですから、一年見送ったからといって、そこで関係が途切れることはありません。

一方通行を続けるか、こちらからも贈り始めるか、あるいは辞退を伝えるかに決まった正解はなく、 相手との距離と自分の負担を見比べて選べばそれで足ります。 毎年続けたい相手なら返礼がなくても続けてよく、 重く感じる相手なら額を下げても、お礼だけにとどめても構いません。

どの選び方をしても変わらないのは、届いたことを相手に必ず知らせるという一点だけで、 これさえ守っていれば、品物が行き来していなくても不義理にはなりません。 贈る側が知りたいのは返礼の有無ではなく、選んだ品が無事に相手のもとへ届いたかどうかだけです。

よくある質問

お歳暮をもらっていない相手に贈るのは変ですか?

変ではありません。お歳暮は本来、目下から目上へ贈るもので、受け取った側が返す義務はありません。一方通行が自然な形として成り立ちます。

贈っているのに返ってこないのは失礼にあたりますか?

相手が失礼というわけではありません。返す習慣がないだけのことがほとんどです。お礼の連絡があるなら問題ありません。

もらってばかりですが、返さなくてよいですか?

返さなくて構いません。必要なのはお礼を伝えることだけです。相手は感謝を伝えたくて贈っているので、受け取ってお礼を言うことがその気持ちに応える形です。罪悪感を持つ必要はありません。

毎年いただくのが負担です。断れますか?

断れます。お礼状に「どうぞお気遣いなさいませんように」と添える、同額程度を返す、親しい相手なら直接伝えるといった方法があります。ただし受け取らずに返送するのは避けてください。強い拒絶として伝わります。

いただいたので、こちらからも贈り始めるべきですか?

相手のほうが目上なら贈らなくてよく、お礼を伝えれば足ります。対等な関係なら贈り合う形にしてもよいでしょう。ただし一度始めると翌年も期待されるため、続けられる相手かを考えてから始めてください。

お礼の連絡すら来ない場合は?

届いていない可能性もあるため、配送状況を確認する意味はあります。そのうえで連絡がないようなら、贈り先を見直す判断材料にはなります。

まとめ

  • お歳暮は一方通行のままで構いません
  • 本来は目下から目上へ贈るもので、返す義務はありません
  • もらってばかりでも、お礼を伝えれば足ります
  • お礼は届いて二、三日のうちに電話か手紙で伝えます
  • 負担なら辞退できますし、お礼を済ませてから伝えます
  • 受け取らずに返送するのは、強い拒絶として伝わります
  • 一度始めると翌年も続きますので、相手を選んで始めます
  • お礼の連絡すら来ないときは、まず配送状況を確かめます

参考情報

  1. 高島屋「進物の基礎知識」
    https://www.takashimaya.co.jp/giftnavi/shinmotu_01.html
  2. 三越伊勢丹「のし紙とかけ紙の正しいマナー」
    https://www.mistore.jp/gift/manner/knowledge/noshi_mizuhiki/article/noshi_manner.html
  3. 郵便局のネットショップ「贈り物のマナー」
    https://www.shop.post.japanpost.jp/shop/pages/gift_contents_107.aspx

お歳暮が本来目下から目上へ贈るものであり、返礼を必要としない点は、参照した情報源で共通しています。

本記事で紹介している金額や時期は一般的な目安です。地域やご家庭、業界の慣習によって異なる場合があります。お勤め先や取引先の規定で贈答が制限されていることがあります。事前にご確認ください。