結論

コートを脱ぐのはインターホンを押す前、玄関の内側へ入ってしまう前で、 マフラーや手袋、帽子もそこで一緒に外しておきますから、扉が開いたときには身軽な形で立っていることになります。 押してから脱ぎ始めると、扉を開けた相手をその場に立たせたまま待たせてしまいます。

脱いだコートは表地が内側になるように裏返して畳み、左腕にかけて持ちますので、 扉を押さえたり手土産を差し出したりする右手が空いたままになります。 帰りに袖を通すのは玄関を出てからで、勧められたときだけ玄関で羽織ればかまいません。

脱ぐタイミング

厚手のコートを着たまま相手の家の前まで歩いてきて、インターホンに指をかけたところで、 これを脱ぐのは今なのか中へ入ってからなのかが分からなくなります。 玄関ポーチに立ったまま数秒だけ動けなくなるのは、冬に人の家を訪ねれば誰にでも起こります。

分かれ目は寒さでも面倒さでもなく、 玄関の内側へ入る前にひととおり済ませてあるかどうかという一点で、 押したあとに腕を抜き始めると、扉を開けた相手をその場に立たせたまま待たせることになります。 脱ぐ動作そのものは十秒ほどですが、待つ側にはずいぶん長く感じられます。

タイミング目安
インターホンを押す前これが基本で、押す前にすべて脱いでおきます
ドアが開いてから扉を開けた相手を立たせたまま待たせます
玄関に入ってから外の埃を三和土まで持ち込むことになります
部屋に通されてからもっとも避けたい形で、支度が遅れて見えます
マフラーと手袋コートと同じく押す前に外しておきます
帽子かぶったまま玄関へ入ることはしません

脱ぐ場所は扉の真ん前ではなく、少し手前にしておくほうが落ち着きます。玄関先で腕を抜いている姿は、窓やインターホンの画面から見えていることがあり、待たせている空気になってしまいます。寒い日ほど二、三分の余裕を見て着き、身なりを整えてから押すようにしてください。

集合住宅ではエントランスのインターホンで一度呼び出してから部屋の前まで進みますので、 扉が二度開く形になり、どこで脱げばよいのかがかえって分かりにくくなります。 オートロックの前で脱ぐには早すぎますし、部屋の扉の前では遅すぎるという感覚が残ります。

共用廊下やエレベーターホールは屋内で風もありませんから、そこで脱いでおけば部屋の前で慌てずに済みますし、 腕にかけたまま歩いても不自然には見えません。 戸建てであれば門を入ったあたりで、雨の日は傘を持ったままでは腕が抜けませんので、 玄関の庇の下まで進んでから済ませる形になります。

なぜ外で脱ぐのか

言われたとおり外で脱いではみたものの、冷たい風のなかで震えながら腕を抜くことに どれほどの意味があるのかは、はっきり教わらないままのことがほとんどです。 気心の知れた友人の家でも同じようにするべきなのかどうかも、理由が分からないままでは決められません。

理由は大きく二つに分かれ、一つは家の中へ持ち込むものの話、 もう一つは相手からどう見えるかという話で、どちらを重く見るかで厳密さが変わってきます。 持ち込むものの話は季節と天気で重さが変わりますし、見え方の話は相手との間柄で変わります。

考え方説明
外の埃を持ち込まないコートは外気にさらされたものと捉えます
花粉や雨の日玄関の外で肩と袖を軽く払ってから畳みます
外と内を分ける履物と同じく境目で切り替える考え方です
上着を脱ぐこと自体改まった気持ちを表す形とされています
着たまま上がるすぐ帰るつもりだという印象を与えます
親しい相手の家そこまで厳密でなくても差し支えありません

厳密さを変えてよいかどうかは、間柄よりも見られる場面があるかどうかで決まります。義理のご両親の家や目上の方の家では、玄関先での振る舞いが後々まで話題として残ることがあります。学生時代からの友人の家であれば、部屋へ通されてから脱いでも問題にはなりません。

実際に効いてくるのは花粉の季節と雨の日で、ウールのコートの肩には目に見えないほどの粉が乗っていますし、 袖口には水滴が残ったままになっています。 そのまま室内へ持ち込みますと、ソファや畳の上に落ちて、相手の片づけを増やすことになります。

玄関の外で肩と袖を手のひらで二、三度払ってから畳めば、落ちるものはそこで落ちますので、 室内へ入れる分がかなり減ります。 雨の日は水気を軽く切ってから畳み、濡れた面が外側に出ないようにしておくと、 預かってもらうときにも相手を困らせずに済みます。

たたみ方と持ち方

脱いだところまではよくても、腕にかけたコートの裾が前へ垂れて手土産の紙袋に触れたり、 袖が三和土に着きそうになったりして、扉が開くまでのあいだに形が崩れていきます。 片手で押さえながらもう一方の手でインターホンを押すことになりますと、なおさら落ち着きません。

畳み方に込み入った手順があるわけではなく、 要は表地を内側に包むことと、右手を空けておくことの二点に集約されますので、 そこだけ押さえておけば形は自然に決まります。 丈の長いコートでも折る回数が一度増えるだけで、やることは変わりません。

順動作
1表地が内側になるように裏返します
2肩と肩を合わせて縦半分に折ります
3丈が長ければさらに半分に折ります
4左腕にかけて右手を空けておきます
マフラーと手袋畳んだコートの内側に包み込みます
手土産の紙袋コートと同じ左手側にまとめて持ちます

畳んだコートは、床や畳に直接広げて置かないのが基本です。案内された部屋では自分が座る椅子の背にかけるか、その脇へ置き、和室であれば座布団の脇の畳の上に畳んだまま置きます。ソファへ広げてしまうと相手の座る場所をふさぎますので、面積を取らない形にしておいてください。

裏返すのは表地に付いた埃を内側へ閉じ込めるためで、外側のままたたんでしまうと、 腕にかけているあいだに自分の服や相手のソファへ移っていきます。 裏地はもともと体に近い側ですから、そちらが表に出ても汚れの心配はありません。

左腕にかけるのは、扉を押さえる、手土産を差し出す、脱いだ靴の向きを直すといった動作が いずれも右手で起きるためで、右手がふさがっていると一つずつ持ち替えることになります。 左側に寄せておけば玄関での動きが途切れませんので、あいさつの流れもそのまま続きます。

預けられたとき

玄関で靴を脱いでいるあいだに「コートをお預かりします」と声をかけられ、 とっさに「いえ、大丈夫です」と返してしまってから、これでよかったのかと気になることがあります。 両手がふさがったまま断ってしまい、抱えたコートの置き場所に困るという流れもよくあります。

ここで判断が分かれるのは遠慮の深さではなく、 相手がすでに支度を終えているかどうかという点で、 声をかけてきた時点でハンガーも掛ける場所も用意されています。 用意のあるものを断ると、そのぶん相手の手間が宙に浮くことになります。

言われたこと対応
「コートお預かりします」断らずに恐れ入りますと添えて渡します
「そちらにかけてください」指し示された場所へ自分でかけます
何も言われないとき畳んだまま持って部屋へ進みます
ハンガーを差し出された受け取って自分でかけてから戻します
雨で濡れているとき濡れている旨を伝えてから手渡します
帰るときお礼を伝えてから受け取って腕にかけます

預かりの申し出を断ると、せっかく用意した場所とハンガーが行き場を失います。遠慮のつもりでも、玄関の隅に畳んだコートを置かれるほうが相手には気がかりで、見送ったあとの片づけまで残ります。一言添えて渡してしまうほうが、双方にとって話が早く済みます。

迷いやすいのは、何も言われないまま部屋へ通される場合で、 畳んだコートを抱えたまま腰を下ろしてよいのかどうかが決まりません。 玄関の隅へ置いていくのも、断りなく鴨居のフックへ掛けるのも、どちらもすっきりしません。

声がかからないときは持ったまま部屋へ進み、自分が座る椅子の背か、その脇へ置けばそれで足ります。 相手が気づいて「お預かりします」と言えばそこで渡せばよいだけですので、 こちらから預け先を探して家の中を見回す必要はありません。

帰りに着るタイミング

話が一区切りしてそろそろという流れになりますと、座ったままコートへ袖を通してしまいたくなりますが、 そこで着てしまうと部屋の空気が変わります。 玄関まで見送られる短いあいだに腕を通す間があるのかという不安も、同時に頭をよぎります。

基準になるのは寒さではなく、 相手の家の内側にいるうちに帰り支度を終えてしまわないことで、 扉を出てから袖を通せば、見送る側は最後まで見送る形のままでいられます。 支度が早すぎると、話を切り上げたがっているように受け取られてしまいます。

場面目安
基本玄関を出てから廊下や門の外で袖を通します
「寒いので着てください」勧められたら玄関で羽織ってかまいません
部屋の中で着る早く帰りたいという印象を与えてしまいます
親しい相手の家玄関で着ても気にされることはありません
マンションの共用廊下扉が閉まってから廊下で着れば十分です
マフラーと手袋コートと同じく外へ出てから着けます

勧められたときに固辞すると、かえって相手に気を遣わせることになります。寒いなかを薄着のまま出ていく姿を見送るほうが、送り出す側には落ち着きません。お言葉に甘えると言って玄関で羽織り、外へ出てから前を留めれば、形としては十分に丁寧です。

順序として自然なのは、座ったままお礼を伝え、玄関で靴を履き、脱いだ向きを直してから改めてあいさつをして、 それから扉を出るという流れです。 コートはその最後に来ますので、腕にかけたまま玄関を出て、廊下や門の外で袖を通すことになります。

集合住宅であれば扉が閉まった直後の共用廊下で着てしまえば、寒風にさらされる時間がありません。 戸建てで見送りが門の外まで続く場合は、腕にかけたまま歩いて相手が家へ戻るのを待ち、 それから着るほうが落ち着いて見えますし、別れ際のあいさつも交わしやすくなります。

玄関でのマナーを見る

コートの扱いに厳しい決まりが並んでいるわけではなく、 家の内側へ入る前に脱いでおくことと、出てから着ることの二つが押さえてあれば、それで形になります。 畳み方も、表地を内側に包んで左腕にかけるという以上のことは求められませんので、 玄関の前で慌てずに済むよう、少し手前で済ませておけば十分です。

どの家でも変わらないのは、相手を扉の前に立たせたまま待たせないことと、 預かりの申し出を断らないことの二つだけです。 この二つさえ守っていれば細かい手順を思い出せなくても失礼にはなりませんし、 迎える側にとっても、そのほうが気持ちよく招き入れられます。

よくある質問

コートはいつ脱ぎますか?

インターホンを押す前、玄関の内側へ入ってしまう前に脱ぎます。マフラーや手袋も同じで押す前に外してコートと一緒に持ち、帽子もかぶったままでは玄関へ入りません。押してから脱ぎ始めると、扉を開けた相手をその場に立たせたまま待たせることになります。

なぜ外で脱ぐのですか?

外の埃や花粉を家の中へ持ち込まないという考え方と、上着を脱ぐこと自体が改まった気持ちを表す形とされていることの二つによります。着たまま上がるとすぐ帰るつもりだという印象を与えますので、玄関の外で肩と袖を軽く払ってから畳んでください。

コートはどうたたみますか?

表地が内側になるように裏返し、肩と肩を合わせて縦半分に折り、丈が長ければさらに半分に折って左腕にかけます。裏返すのは表地の埃を内側へ閉じ込めるためで、左腕にかけるのは扉を押さえたり手土産を差し出したりする右手を空けておくためです。

部屋ではコートをどこに置きますか?

自分が座る椅子の背にかけるか、その脇へ置きます。和室であれば座布団の脇の畳の上に、畳んだまま置いてください。床や畳へ直接広げたり、ソファへ広げて相手の座る場所をふさいだりしない形にしておけば十分です。

「コートお預かりします」と言われたら?

断らずに「恐れ入ります」と添えて渡してください。声をかけてきた時点でハンガーも掛ける場所も用意されていますので、遠慮すると相手の手間が宙に浮きますし、玄関の隅に置かれるほうが気がかりになります。帰るときはお礼を伝えてから受け取ります。

何も言われないときはどうしますか?

畳んだまま持って部屋へ進み、自分が座る椅子の背か脇へ置けば足ります。相手が気づいて声をかけてくれたらそこで渡せばよいだけですので、こちらから預け先を探して家の中を見回す必要はありません。

帰りにコートはいつ着ますか?

玄関を出てから、廊下や門の外で袖を通します。部屋の中で着てしまうと早く帰りたいという印象を与えますので、お礼を伝え、靴を履き、あいさつをしてから扉を出るという順序になります。集合住宅なら扉が閉まった直後の共用廊下で着れば十分です。

「寒いので着てください」と言われたら?

遠慮せず玄関で羽織ってください。固辞すると、薄着のまま寒いなかへ出ていく姿を見送ることになり、かえって相手に気を遣わせます。玄関で袖を通し、外へ出てから前を留めれば、形としては十分に丁寧です。

まとめ

  • コートはインターホンを押す前に脱いでおきます
  • マフラーと手袋、帽子も同じように外しておきます
  • 外の埃や花粉を家の中へ持ち込まないために脱ぎます
  • 表地を内側に裏返して畳み、左腕にかけて持ちます
  • 床や畳へは直接置かず、椅子の背か脇に置きます
  • 「お預かりします」は断らずに渡します
  • 帰りは玄関を出てから袖を通します
  • 勧められたときは遠慮せず玄関で羽織ります

参考情報

  1. 三越伊勢丹「のし紙とかけ紙の正しいマナー」
    https://www.mistore.jp/gift/manner/knowledge/noshi_mizuhiki/article/noshi_manner.html
  2. 高島屋「進物の基礎知識」
    https://www.takashimaya.co.jp/giftnavi/shinmotu_01.html
  3. 郵便局のネットショップ「贈り物のマナー」
    https://www.shop.post.japanpost.jp/shop/pages/gift_contents_107.aspx

手土産の金額や渡し方に公的な基準はありません。本記事は広く共通して挙げられる目安をまとめたものです。地域・ご家庭・間柄によって実際には大きく異なります。

本記事で紹介している金額や作法は一般的な目安です。手土産に決まりはなく、地域・ご家庭・間柄によって異なります。とくに親しい相手との間では、形式より相手の負担にならないことを優先してください。