結論
初節句の食事会に決まった式次第はなく、人形を飾り、家族で食事をするだけで初節句として成り立ちますので、 招く範囲も両家の祖父母までにとどめる家がほとんどです。 ただし人形やお祝いを贈ってくれた側には、必ず声をかけてください。
三月三日は祝日ではありませんので、前後の土日へ移して差し支えありません。 当日いちばん時間を取られるのは支払いの譲り合いですので、 誰が払うかを先に決めてから日どりの相談に入ってください。
誰を招くか|両家の祖父母までが目安
初節句をやろうと決めたあと、最初に止まるのが招く範囲で、両家の祖父母だけでよいのか、おじやおばにも声をかけるべきなのか、 片方だけを呼んで角が立たないか。産後の疲れが残っている時期に、 この判断を一つずつ積み上げていくのは負担の大きい作業になります。
招く範囲を決めるときの軸は一つで、 人形やお祝いを贈ってくれた相手には声をかけるということです。 贈った側は飾られた様子を見たいものですし、 招かれなかったとなると、贈ったこと自体が宙に浮いた形になります。
| 招く相手 | よくある扱い | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 両家の祖父母 | もっとも一般的な招く範囲で、ここまでとする家がほとんどです | 人形を贈ってくれた側には、必ず声をかけてください |
| 片方の祖父母だけ | 距離の差が大きい家では、近いほうだけを招く例もあります | もう一方には先に事情を伝え、当日の写真を送ってください |
| おじ・おば | お祝いをいただいていて、行き来のある場合に招きます | 人数が増えるほど母親の負担も増えることを見込んでください |
| きょうだいの家族 | 上の子のときに招かれた家は、返礼として招く例があります | 親族のあいだで前例があれば、そちらに合わせるのが無難です |
| 友人・知人 | 初節句の席へ招く例は少なく、身内だけで行う家がほとんどです | 別の日に、あらためて会う機会を作るほうが穏やかです |
| 誰も招かない | 夫婦と子どもだけで行う家も珍しくありません | お祝いをいただいた相手には、写真とお礼を必ず届けてください |
片方の祖父母だけを招いた結果、もう一方に伝わって気まずくなるという形が典型的な失敗です。距離の差から片方だけになる場合は、招かないほうへ先に事情を伝えてください。「近いので今回はこちらで、次はそちらでお願いします」と次の機会を示しておけば、置き去りにされたという受け取り方にはなりません。
招く人数は母親の体調から逆算して決めるのが確実で、桃の節句であれば、生まれてから数か月しか経っていない家も多く、 来客の応対そのものが体にこたえますし、人数を絞ったことを後から責める祖父母は、まずいません。
招く相手が決まったら、日どりより先に声をかけてしまうほうが進みます。 「三月の第一土曜あたりで、初節句をやろうと思っています」と先に置いておけば、 相手も予定を空けやすくなりますし、 人形の手配を進めている祖父母には、期限が伝わるという効果もあります。
日どりの決め方と、赤ちゃんの月齢
節句の日付は決まっていますが、その日に集まらなければならないわけではありません。 三月三日は祝日ではありませんので、平日に当たる年のほうが多く、 遠方の祖父母を招くとなると、当日に集まること自体が難しくなります。
日をずらすことは差し支えなく、節句の前後の土日に移す家が多く、 五月五日はこどもの日という祝日にあたるため、 端午の節句のほうは当日に集まれる年が多くなります。
| 場面 | 日どりの選び方 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 三月三日が平日にあたる年 | 前後の土日へ移し、集まりやすい日を選びます | 飾りは節句の一週間前までに出し、当日まで飾っておきます |
| 五月五日を挟む連休 | 祝日にあたるため、当日に集まれる年が多くなります | 飲食店は混み合いますので、予約は早めに取ってください |
| 遠方から来てもらう場合 | 移動を含めて日帰りできる時間帯に置きます | 昼の会にすると、夕方には帰路につけます |
| 生後間もない場合 | 無理に行わず、翌年へ繰り越しても初節句として扱われます | 繰り越すと決めたら、早めに両家へ伝えてください |
| 母親の体調が戻らない場合 | 日を先へずらすか、その年は家族だけで済ませます | 写真を撮って送るだけでも、贈った側には形が残ります |
節句そのものより後ろへずらす場合は、二週間ほどまでにとどめる家が多くなっています。飾りをしまう時期との兼ね合いがあるためで、雛人形は三月中旬までにしまうのが目安ですので、それより後ろになると飾りの無い席になります。日が取れないのであれば、飾ってある期間のうちに家族だけで写真を撮り、集まりは別の機会に回すほうが形になります。
時間帯は昼を選ぶ家がほとんどで、赤ちゃんの機嫌が良いのは午前から昼過ぎまでですし、 遠方から来てもらう場合も、明るいうちに帰路につけます。 昼寝の時間帯を外して、正午前後に始める形が扱いやすくなります。
滞在時間は二時間ほどを見込んでおくと安全で、それより長くなると赤ちゃんが疲れますし、 母親も授乳とおむつ替えのあいだに食事を取ることになります。 始める前に「二時ごろまでで」と伝えておくと、切り上げやすくなります。
自宅か、お店か、実家か
場所については、それぞれに向き不向きがあって、自宅は気楽である一方で支度がすべて自分たちにかかりますし、 お店は楽な代わりに費用がかかり、赤ちゃんの泣き声に気を使います。 どちらを選んでも一長一短で、決め手が見つからないまま日が過ぎがちです。
判断の軸になるのは人形を飾ってある場所で行うかどうかで、初節句の主役は飾りですので、自宅で行えばそのまま見てもらえますが、 店へ移せば飾りは見せられませんので、写真を撮っておいて当日に見せるという形で補う家もあります。
| 場所 | 向いている家 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 自宅 | 飾りをそのまま見てもらえて、赤ちゃんの負担がもっとも軽くなります | 支度と片付けが母親に集中しないよう、料理は仕出しに頼ってください |
| 料理店・ホテル | 支度の手間がなく、人数が多い場合にも収まりがつきます | 個室を取り、子ども連れであることを予約時に必ず伝えます |
| どちらかの実家 | 台所が使えて休む部屋もあり、遠方から来る側の移動も減ります | 支度が実家の側に偏りますので、手伝いに早めに入ってください |
| 仕出しを取って自宅で | 支度の負担を抑えたまま、飾りのある部屋で行えます | 節句にちなんだ献立を頼めるかを、注文時に確かめてください |
| 写真館と組み合わせる | 撮影を先に済ませ、そのまま食事へ移る形が取れます | 撮影で子どもが疲れますので、食事は短めに切り上げます |
お店を選ぶ場合は、予約の段階で赤ちゃんを連れていくことを伝えてください。個室が取れるか、ベビーベッドや座布団を借りられるか、離乳食を持ち込めるかは店によって違います。掘りごたつの席は赤ちゃんを寝かせられませんので、座敷か個室のテーブル席を指定しておくほうが当日に困りません。
自宅で行う場合、料理をすべて手作りしようとする必要はなく、ちらし寿司だけを作り、あとは仕出しや惣菜に頼る形で十分に整います。 当日の主役は赤ちゃんと飾りであって、 献立の出来を見に来る人はいません。
実家で行う形は支度と片付けの負担が実家の側へ寄りますので、任せきりにせず、前日か当日の朝から手伝いに入ってください。 招かれる側の祖父母が「そちらのご実家ばかりに」と気にすることもありますので、 次の機会はもう一方の実家で、という形にすると釣り合いが取れます。
支払いは、先に決めておく
当日いちばん時間を取られるのがこの支払いの譲り合いで、会計の前で「いや、うちが」「そんな」というやり取りが始まると、 場が止まりますし、譲られた側にも気まずさが残ります。 招かれた祖父母のほうも、財布を出すべきかどうかで落ち着かなくなります。
決め方に正解はなく、先に決めておくこと自体が答えにあたります。 招いた側が持つのが基本の形ですが、 祖父母のほうから「こちらで持たせてほしい」と申し出ることも多く、 その申し出を受けても差し支えありません。
| 形 | 払う人 | 伝え方 |
|---|---|---|
| 招いた側が持つ | 両親がまとめて支払い、祖父母には受け取ってもらいます | 「今日はこちらで用意しますので」と、招くときに言い切ってください |
| 祖父母が申し出た場合 | 申し出た側が支払い、両親は素直に受けます | 「では、お言葉に甘えます」と受けて、後日あらためてお礼を伝えます |
| 両家で折半する | 祖父母どうしで話がついている場合に、この形になります | 当日その場で割らず、事前に決めた形で精算してください |
| 人形を贈った側は出さない | 人形の代金を持った側は、食事会の費用を持ちません | 負担が偏らないよう、両親から橋渡しをしてください |
| 自宅で行う場合 | 費用そのものが軽くなり、両親が持つ形で収まります | 仕出しの費用だけでも、祖父母が申し出ることがあります |
当日その場で譲り合うことが、いちばん時間を取られますので、店で行うのであれば、席を立つ前に会計を済ませておくか、予約の時点で支払い方法を決めておいてください。両親が持つと決めたのであれば、招くときに「今日はこちらで用意します」と言い切っておけば、祖父母の側も財布を出す構えを取らずに済みます。
人形を贈ってもらった側の家が食事会の費用を持つ、という組み合わせは自然な形です。 片方が品物、もう一方が席を受け持てば、 どちらの家からも形が残りますし、負担も釣り合います。 両親の側から「そちらに人形をお願いしたので、席はこちらで」と橋渡しをしてください。
なお、費用を出してもらった相手にお返しの品を用意する必要はありません。 その席がもてなしにあたりますし、 重ねて品を返すと、出した側が気を遣ったことになります。 後日あらためてお礼を伝え、当日の写真を送る形で十分に収まります。
当日の流れと、用意しておくもの
式次第が決まっていないぶん、当日の進め方に迷う方は多くいます。 何かしら挨拶をするものなのか、写真はいつ撮るのか、 赤ちゃんに衣装を着せる時間をどこに入れるのか、決まりが無いだけに、かえって組み立てにくいところです。
決まった形はありませんので、飾りの前で写真を撮り、食事をするという二つだけを 押さえておけば足ります。 進行を凝ると赤ちゃんの機嫌が持ちませんので、 写真を先に済ませてしまうのが、どの家でも共通する勘どころにあたります。
| 時間の目安 | すること | 気をつけること |
|---|---|---|
| 集まってすぐ | 飾りの前で、赤ちゃんと家族の写真を撮ってしまいます | 機嫌の良いうちに済ませると、撮り直しが要りません |
| 写真のあと | いただいたお祝いを受け取り、その場で礼を伝えます | 誰から何をいただいたかを、その日のうちに控えてください |
| 食事の初め | 父親か祖父が短く一言述べ、そのまま食事に入ります | 長い挨拶は要らず、三十秒ほどで十分に形になります |
| 食事のあいだ | 授乳とおむつ替えのために、母親が席を外せる部屋を確保します | 個室であれば、店に相談すれば場所を用意してもらえます |
| お開きの前 | 持ち帰ってもらう品があれば、この時点で手渡します | 帰りぎわに渡すと、両手がふさがって受け取りにくくなります |
| 当日の夜 | 招けなかった相手へ、写真を一枚送っておきます | その日のうちに送ると、話が長引きません |
献立に決まりはありませんが、節句にちなんだものを一品だけ入れると席が締まります。桃の節句ではちらし寿司とはまぐりの吸い物、端午の節句ではちまきと柏餅が定番にあたります。赤ちゃん本人はまだ食べられませんので、離乳食が始まっていれば取り分けられるものを、始まっていなければ授乳の時間を献立の合間に確保してください。
服装については、家で行うのであれば普段着で構いませんし、店を取ったのであれば、両親は襟のあるものを選んでおくと写真に残ったときに落ち着きます。 赤ちゃんに袴風の衣装を着せる家もありますが、 着せている時間が長いと機嫌が持ちませんので、写真のときだけにとどめてください。
招かれる側として行く場合は手ぶらを避けたいところで、お祝いを別に渡してあるのであれば、菓子折り一つで十分に形になります。 玄関で渡すか、席に着く前に手渡すのが自然な流れで、 帰りぎわに出すと相手が置き場所に困ります。
招かない・招けないときの伝え方
家族だけで済ませたいという判断は珍しいものではなく、産後の体調が戻っていない、住まいが狭い、遠方で移動が難しいと、理由はいくらでもありますが、 祖父母が楽しみにしていると分かっているだけに、伝え方に困ります。
伝えるときの勘どころは断る形にしないことで、「呼びません」ではなく「今年は家族だけで」と言い、 写真を送ることと、次に会う機会をあわせて示せば、 置き去りにされたという受け取り方にはなりません。
| 場面 | 伝え方 | 添えておくこと |
|---|---|---|
| 家族だけで行う場合 | 「今年は家族だけで、と考えています」と早めに伝えます | 当日の写真を送ることと、次に会える時期を添えてください |
| 片方だけを招く場合 | 招かないほうへ先に事情を伝え、順番であることを示します | 「次はそちらでお願いします」と、次の機会を具体的に置きます |
| お祝いだけをいただいた場合 | 受け取ってすぐ電話で礼を伝え、飾った写真を送ります | 内祝いを贈るのであれば、その旨も伝えておくと行き違いません |
| 遠方で来られない場合 | 相手から辞退の申し出があれば、無理に勧めません | 当日に短い動画を送ると、その場にいる感じが伝わります |
| 繰り越すと決めた場合 | その年は行わず、翌年に行うことを早めに伝えます | 祖父母が人形の手配を進めていることがありますので、急いでください |
招かない相手へ写真を送るのは、その日のうちが目安になりますので、日を置くほど「後回しにされた」という形になりますので、飾りの前で撮った一枚を、当日の夜に送ってください。文面は「今日、無事に済みました、ありがとうございました」という二行で十分で、長い説明を添える必要はありません。
祖父母のほうから「行ってもよいか」と聞かれた場合に、断りにくいのは分かります。 それでも母親の体調が整っていないのであれば、 「産後の体調がまだ戻っていないので」と正直に伝えてほしいところで、体調を理由に押し切る祖父母は、そう多くありません。
招かないと決めた年でも飾りの写真だけは必ず送ってほしいところで、人形を贈った側にとっては、飾られている様子を見ることが何よりの返礼にあたります。 毎年その写真を送るようにしておくと、 次の年からは招く招かないという話そのものが出にくくなります。
初節句の食事会に決まった形はなく、 誰を招くかも、どこで行うかも、その家の事情で決めて差し支えありません。 人数を絞ったことや、日をずらしたことを後から責める祖父母は、まずいませんので、 産後の体調と赤ちゃんの機嫌を先に置いて組み立ててください。
どの家でも変わらないのは、人形やお祝いを贈ってくれた相手には、 飾ってある様子が届くようにしておくという一点だけです。 招けるのであれば招き、招けないのであれば写真を送るという形さえ守っておけば、集まりの規模はどこまで小さくしても失礼になりません。
よくある質問
初節句の食事会には、誰を招きますか。
両家の祖父母までとする家がほとんどです。判断の軸は、人形やお祝いを贈ってくれた相手には声をかけるということで、それより遠い親戚や友人を招く例は多くありません。夫婦と子どもだけで行う家も珍しくありません。
三月三日が平日です。日をずらしてもよいですか。
差し支えありません。前後の土日へ移す家が多くなっています。ただし雛人形は三月中旬までにしまうのが目安ですので、後ろへずらす場合は二週間ほどまでにとどめておくと、飾りのある席になります。
食事会の費用は誰が払いますか。
招いた側が持つのが基本の形ですが、祖父母から申し出があれば受けて差し支えありません。大切なのは、当日その場で譲り合わないよう先に決めておくことです。人形を贈ってもらった側の家が席を持つ、という組み合わせもよく取られます。
自宅とお店では、どちらがよいですか。
飾りをそのまま見てもらえる点では自宅が向いていて、支度の手間がない点ではお店が向いています。自宅で行う場合も料理をすべて手作りする必要はなく、ちらし寿司だけを作って、あとは仕出しに頼る形で十分に整います。
家族だけで済ませたいのですが、祖父母にどう伝えますか。
「今年は家族だけで、と考えています」と早めに伝え、当日の写真を送ることと次に会える時期を添えてください。断る形ではなく、今年の形として伝えるほうが受け取り方が変わります。
当日、何か挨拶をするものですか。
決まりはありません。父親か祖父が「今日はありがとうございます」と三十秒ほど述べて、そのまま食事に入る形で十分です。写真は集まってすぐ、赤ちゃんの機嫌の良いうちに済ませてください。
まとめ
- 招く範囲は両家の祖父母までとする家がほとんどにあたります
- 人形やお祝いを贈ってくれた相手には、必ず声をかけることになります
- 三月三日は祝日ではないため、前後の土日へ移して差し支えありません
- 場所は、飾りをそのまま見てもらえるかで選ぶと決めやすくなります
- 支払いは先に決めておくと、当日の譲り合いで時間を取られません
- 写真は集まってすぐ、赤ちゃんの機嫌の良いうちに撮ってしまいます
- 招かない相手へは、その日のうちに写真を一枚送るようにします
参考情報
- スタジオアリス「初節句を食事会でお祝い!場所や内祝いなど決めておくことをチェック」
https://www.studio-alice.co.jp/shortcut/sekku/column/detail25.html - 三越伊勢丹「初節句の内祝いガイド~相場・時期・のし・喜ばれるギフト選び~」
https://www.mistore.jp/gifts/thanks_child/hatsuzekku - ふらここ「五月人形鯉のぼりは誰が買う?参考にしたい地域別の風習と実際のアンケート結果」
https://www.furacoco.co.jp/column/2020/3376
食事会の招き方と場所の選び方はスタジオアリスの案内を、当日に持ち帰ってもらう品については三越伊勢丹の案内をもとにしています。招く範囲や支払いの扱いは地域とご家庭による差が大きく、いずれの資料も決まりとしては示していません。(最終確認:2026年8月)
本記事で紹介している金額や作法は一般的な目安です。節句の祝い方は地域とご家庭による差がとりわけ大きく、人形を誰が用意するかについては資料そのものが食い違っています。ごきょうだいや親族で前に祝った例があるときは、そちらに合わせるほうが角が立ちません。