結論

母の日ののしは掛けても掛けなくても差し支えありません。 百貨店のご贈答マナーは紅白五本の蝶結びに 「母の日御祝」「お母さんありがとう」と示している一方で、 同じ案内が「カードを添え、掛紙を掛けない時はリボンで飾り結びにします」とも書いていて、 掛けない形も認められています。

水引は紅白の蝶結びで、何度あってもよい祝いごとに使う結び方です。 名前は水引の下に贈る側の名を書き、 義母へ贈るときは夫婦の連名にしてください。 メッセージは長さより、その一年の具体的な出来事が一つ入っているかどうかで伝わり方が変わります。

のしは要るのか|案内が分かれる理由

売り場でのしを掛けるかどうかを聞かれて、その場で返事に詰まる方は少なくありません。 家に帰ってから調べても、必要だと書いてある案内と不要だと書いてある記事が並んで出てきて、 かえって決められなくなります。

案内が割れているのは母の日を改まった贈答と見るかどうかで結論が変わるためで、 百貨店のご贈答マナーは中元や歳暮と同じ季節の贈答として扱って掛紙の形を示していますが、 日本の伝統行事ではないという立場を取る解説は、決まりが無いのだから掛けなくてよいとしています。 どちらも同じ事実を別の側から見ているだけで、対立しているわけではありません。

場面のしを掛けるか理由
手渡しで、家族へ渡す掛けなくても差し支えありませんその場で誰からか分かるためです
配送で送る掛けておくほうが分かりやすくなります箱を開けた側が、用途をすぐつかめます
義母へ贈る掛けておくと、改まった形になります関係が浅いうちは、丁寧な側に寄せます
花やアレンジメントのしは掛けず、カードを添えます掛紙が花に合わないためです
菓子・食品掛けるか、リボンを掛けるか選べます店で用途を伝えれば用意してもらえます
長寿祝いと重なる年長寿祝いとして掛けるほうが座ります母の日と兼ねるより、名目を分けます

のしを掛けるかどうかは、資料によって案内が分かれます。高島屋は母の日・父の日とも「のしあり 紅白五本蝶結び」と図つきで示し、表書きの例に「母の日御祝」「お母さんありがとう」を挙げている一方、ギフト各社の解説では「正式な決まりは無いので掛けなくてもよい」とするものが目立ちます。高島屋自身が「カードを添え、掛紙を掛けない時はリボンで飾り結びにします」と書いていますので、掛けない形も同社の案内の範囲内です。(最終確認:2026年8月)

迷ったときは、売り場で「母の日の贈り物です」と伝えてください。 その店が母の日をどう扱っているかは店側がよく分かっていますので、 掛紙を用意している店であれば形を出してもらえますし、 リボンで済ませる店であればそのように勧められます。

通信販売では、注文画面にのしの選択があるかどうかで判断できます。 選択肢が用意されていない店は、そもそも掛紙を使わない前提で商品を組んでいますので、 無理に頼まず、メッセージカードの欄を使うほうが自然に収まります。

水引の選び方と、内のし・外のし

掛けると決めたあとで、今度は水引の種類のところで手が止まることになります。 売り場には結び切りと蝶結びが並んでいて、 色も紅白から黒白までありますので、どれを選べばよいのかがすぐには分かりません。

ここは迷う必要がなく、母の日は紅白五本の蝶結びと決まっています。 蝶結びは解いて何度でも結び直せることから、 毎年繰り返してよい祝いごとに使う結び方で、 一度きりであってほしい結婚や快気に使う結び切りとは、はっきり用途が分かれています。

選ぶもの母の日での形理由
水引の結び方紅白五本の蝶結びを使います毎年繰り返してよい祝いにあたります
のし(熨斗)の有無のしの付いた掛紙を使います生ものを贈るとき以外は付けます
掛け方手渡しなら外のしが向きます渡した瞬間に用途が見えるためです
配送する場合内のしにすると、掛紙が汚れません包装紙の内側に入れる掛け方です
花に添える場合掛紙は使わず、カードにします掛紙は花の形に合いません
結び切りを勧められた場合母の日には使いませんので断ります一度きりの祝いに使う結び方です

内のしと外のしの違いは、包装紙の内側に掛けるか外側に掛けるかだけです。手渡しであれば外のしにしておくと渡した瞬間に用途が伝わりますし、配送であれば内のしにしておけば運ぶあいだに掛紙が擦れたり濡れたりしません。どちらでなければならないという決まりはありませんので、渡し方に合わせて選んでください。

掛紙の右上に印刷されている小さな飾りが、のしと呼ばれている部分にあたります。 もとは干した鮑を添えた名残で、生ものを贈るときには重ねて付けない習わしがありますが、 母の日に贈る菓子や衣料品であれば、付いた形をそのまま使って差し支えありません。

黒白や黄白の水引は弔事に使うもので、母の日には用いません。 店で用途を伝えずに掛紙だけ頼むと、繁忙期に取り違えが起こることがありますので、 「母の日の贈り物です」と一言添えて頼んでください。

表書きに書く言葉

水引の上に何と書くかは、中元や歳暮のように決まった一語がありません。 「御祝」でよいのか、「感謝」と書くのか、 それとも母への呼びかけをそのまま書いてよいのかで迷います。

ここは改まった形にするか、くだけた形にするかを選べるところで、 百貨店の案内も「母の日御祝」と「お母さんありがとう」という 性格の違う二つを並べて挙げていますので、 相手との距離感で選んで差し支えありません。

表書き向いている相手印象
母の日御祝義母など、改まった相手に向きますもっとも整った書き方にあたります
御祝相手を選ばず、幅広く使えます簡素ですが、失礼にはなりません
感謝言葉で伝えるのが照れくさい相手に向きます祝いより、礼に寄った書き方です
お母さんありがとう実の母へ贈るときに向きます柔らかく、家族らしい書き方です
母の日用途だけを示したいときに使えます飾りが無く、すっきり収まります
お母さんへ子どもの字で書くときに向きます孫から祖母へ贈る形にも使えます

表書きに決まった一語が無いため、どれを選んでも誤りにはなりません。ただし「御祝」だけだと何の祝いか分からない場面がありますので、他の贈り物と一緒に届く可能性があるときは「母の日御祝」と書いておくほうが親切です。義母へ贈るときは、くだけた書き方より改まった書き方のほうが落ち着きます。

文字は毛筆か筆ペンを使い、濃い墨色で書いてください。 薄墨は弔事に用いるものですので祝いの掛紙には使いませんが、 店で印字してもらえる場合は、その形をそのまま使って差し支えありません。

表書きの文字は名前より大きく書くのが決まりで、 同じ大きさで並べるとどちらが用途でどちらが差出人か分かりにくくなりますので、 水引の上を大きく、下を一回り小さく書いてください。

名前の書き方|夫婦連名・孫の名前

水引の下に誰の名を書くかは、一人で贈るなら迷いませんが、 夫婦で贈る場合や孫の名前も入れたい場合になると、 並べる順番と大きさで手が止まります。

基本になるのは贈る側の名前を、水引の下の中央に書くという形で、 複数人になったときは中央を基準に左右へ広げていきます。 義母へ贈るときは夫婦の連名にするのが基本で、 手配を妻がしたとしても、名前を片方だけにはしません。

贈る人書き方注意するところ
一人で贈る水引の下の中央に、名前を書きます姓だけでも、姓名でも差し支えありません
夫婦で贈る中央に夫の姓名、その左に妻の名を書きます妻は名だけにして、姓は重ねません
孫の名前も入れる夫婦の名の左に、子の名を小さく書きます人数が多いときは全員を並べません
きょうだいでまとめる代表者の名の左に「他一同」と添えます中に全員の名を書いた紙を入れます
子どもから祖母へ子の名を中央に書きます本人の字で書けば、それがいちばんです
実の母へ贈る名だけでも差し支えありません姓が同じ場合は、名のほうが自然です

名前を書く目的は、誰から届いたかを受け取る側に分からせることにあります。実の母へ贈るのに姓を書くとかえってよそよそしくなりますし、義母へ贈るのに名だけだとどちらの子か分からないことがありますので、相手から見てどう読めるかで決めてください。配送で複数の贈り物が届く時期には、姓名まで書いておくほうが確実です。

掛紙に書ける人数には限りがあり、 三人までであれば横に並べて書けますが、それを超えると字が小さくなって読みにくくなりますので、 代表者の名に「他一同」と添えて、 中に全員の名を書いた紙を一枚入れてください。

孫の名前を一つ入れておくだけで、受け取る側の喜び方がはっきり変わります。 字がまだ整わない年頃であっても、本人の書いた名前がそのまま入っているほうが、 きれいに印字された掛紙より長く手元に残りますので、 書ける年齢であれば書かせてみてください。

掛けない場合|リボンとカードの形

花やアレンジメントを贈るときは、そもそも掛紙を掛ける場所がありません。 菓子の包みでも、店によっては母の日用の包装がすでに用意されていて、 そこへ掛紙を重ねると見た目が崩れることがあります。

掛紙を使わない場合に代わりを務めるのがリボンとメッセージカードで、 百貨店の案内も「カードを添え、掛紙を掛けない時はリボンで飾り結びにします」と書いていますので、 これは略式ではなく、掛紙と並ぶもう一つの形として示されています。

贈る形掛紙の代わり添えるもの
花束・アレンジメント店のラッピングをそのまま使います小さなカードを一枚挿してもらいます
鉢植え鉢を包む紙にリボンを掛けますカードは水に濡れない位置へ挿します
菓子・食品母の日用の包装があれば、それを使いますカードを箱の上に置いてもらいます
衣料品・雑貨リボンを飾り結びにします名前と一言を書いたカードを添えます
配送で送る店のカードサービスを使います差出人名を必ず入れてもらいます
手渡しする紙袋のまま渡さず、袋から出しますその場で一言添えれば足ります

掛紙を使わないときは、差出人が分かる形を必ずどこかに残してください。配送の時期には複数の贈り物が前後して届きますので、カードが入っていないと誰へ礼を言えばよいのか分からなくなります。通信販売のカードサービスは文字数が限られていることが多いので、名前が切れていないかを注文前に確かめておくと確実です。

リボンの色は、店が母の日用に用意しているものをそのまま使って差し支えありません。 赤やピンクを使う店が多く、これも決まりではありませんが、 黒や紺のリボンは弔事を思わせますので、母の日には選びません。

手渡しのときは、紙袋ごと押しつけずに、 袋から出して両手で渡してください。 袋は持ち帰るか、その場でたたんで置いておけば、 片づけの手間を残さずに済みます。

メッセージの文例と、書き方の組み立て

カードを添えると決めたものの、何を書けばよいのかで手が止まって、 結局「いつもありがとう」の一行だけになった、 という方はとても多く、面と向かって言えることでも改まって文字にすると急に照れくさくなります。

長く書く必要はまったくありませんが、 その一年のあいだにあった具体的な出来事を一つ入れるだけで、 決まり文句だけのカードとはまったく違うものになります。 礼の言葉、具体的な一件、これからの一言という三行の組み立てが、いちばん書きやすい形です。

相手・場面文例組み立て
実の母へ「いつもありがとう。去年もらった梅干しが美味しくて、今年も楽しみにしています。体に気をつけて」礼、具体的な一件、体をいたわる一言です
義母へ「日ごろお世話になり、ありがとうございます。先日いただいた野菜、家族でおいしくいただきました」敬体でそろえ、いただいた物の礼を添えます
遠方の母へ「なかなか帰れずにいますが、こちらは変わりありません。夏には顔を見せに行きます」近況と、次に会う見通しを入れます
同居している母へ「毎日ありがとう。今日はゆっくりしてください」短くてよく、その日の過ごし方を添えます
孫から祖母へ「おばあちゃん、いつもありがとう。また一緒に公園に行きたいです」本人の字で、思い出した場面を書きます
祖母にあたる相手へ「お元気そうで何よりです。今年も花を贈ります」長寿を祝う言葉より、近況を中心にします

文例をそのまま写すより、一か所だけ自分の言葉に置き換えるほうが伝わります。もらった物の名前、一緒に行った場所、電話で話した内容のどれか一つが入っていれば、それだけで宛て名のあるカードになりますし、受け取った側も繰り返し読み返しますので、字の上手下手はまったく問題になりません。

書くことが思いつかないときは、 前に会ったときのことを一つ思い出してください。 一緒に食べたもの、話した内容、渡された物のどれかが入っていれば、 それで具体的なカードになります。

なお、頂いた側からのお返しは不要ですので、そこまで用意する必要はありません。 母の日は感謝を伝える日であってお祝いを頂いた場ではありませんので、 内祝いのように品物を返す習慣はなく、 届いた当日に電話やメッセージで礼を伝えれば十分に足ります。

母の日ののしに決まった一つの形があるわけではなく、 掛紙を掛ける家もあれば、リボンとカードで済ませる家もあって、 どちらが正しいというものではありませんので、 贈る品の形と、相手との距離感に合わせて選べばそれで十分です。

どの形を選ぶときでも変わらないのは、水引を紅白の蝶結びにすることと、 誰から届いたかが分かる形をどこかに残すことの二つだけで、 この二つさえ押さえておけば、表書きの言葉が違っても、 カードが二行だけでも、失礼にはなりません。

よくある質問

母の日の贈り物にのしは必要ですか。

掛けても掛けなくても差し支えありません。百貨店のご贈答マナーは紅白五本の蝶結びを示している一方で、同じ案内が掛紙を掛けないときはリボンとカードにすると書いていますので、どちらも認められている形です。

水引はどれを選びますか。

紅白五本の蝶結びです。蝶結びは解いて何度でも結び直せることから、毎年繰り返してよい祝いごとに使います。一度きりであってほしい結婚や快気に使う結び切りは、母の日には用いません。

表書きには何と書きますか。

「母の日御祝」「お母さんありがとう」「感謝」「母の日」などから選びます。決まった一語はありませんので、義母のように改まった相手には「母の日御祝」、実の母には柔らかい書き方、というように距離感で選んで差し支えありません。

夫婦で贈るとき、名前はどう書きますか。

中央に夫の姓名を書き、その左に妻の名だけを添えます。妻に姓を重ねる必要はありません。義母へ贈るときは、手配を妻がしたとしても連名にしてください。

内のしと外のしはどちらにしますか。

手渡しなら外のし、配送なら内のしが向きます。外のしは渡した瞬間に用途が伝わり、内のしは運ぶあいだに掛紙が擦れたり濡れたりしません。どちらでなければならないという決まりはありません。

メッセージには何を書けばよいですか。

礼の言葉、その一年にあった具体的な出来事、これからの一言という三行で十分です。もらった物の名前や一緒に行った場所が一つ入っているだけで、決まり文句だけのカードとはまったく違うものになります。

まとめ

  • のしは掛けても掛けなくても差し支えありません
  • 掛ける場合は、紅白五本の蝶結びを使います
  • 表書きは「母の日御祝」「お母さんありがとう」などから選びます
  • 名前は水引の下に書き、義母へは夫婦の連名にします
  • 手渡しは外のし、配送は内のしが向きます
  • 掛けない場合は、リボンとカードで差出人を示します
  • メッセージは、その一年の具体的な一件を一つ入れます

参考情報

  1. 高島屋「高島屋のご贈答マナー/シーズンギフト 母の日、父の日」
    https://www.takashimaya.co.jp/giftnavi/season_05.html
  2. 高島屋「高島屋のご贈答マナー/進物の基礎知識 表書きの書き方」
    https://www.takashimaya.co.jp/giftnavi/shinmotu_04.html
  3. 郵便局のネットショップ「母の日ギフトのお返しはどうすればいい?」
    https://www.shop.post.japanpost.jp/column/mother/mother_okaeshi.html
  4. ハーモニック「父の日に贈るプレゼントのマナーと意外と知らないタブーをご紹介」
    https://www.harmonick.co.jp/media/archives/3089/

掛紙の形と表書きの例は高島屋のご贈答マナーに沿っています。同社は母の日・父の日とも「のしあり 紅白5本蝶結び」とし、表書きに「母の日御祝」「お母さんありがとう」を挙げたうえで、掛紙を掛けないときはカードとリボンにすると書いています。のしを不要とする解説もありますので、本記事では両方の立場を並べています。(最終確認:2026年8月)

本記事で紹介している金額や作法は一般的な目安です。母の日・父の日は宗教行事でも伝統行事でもなく、家ごとの習慣の差がとくに大きい贈答にあたります。配偶者側の家に前例があるときは、そちらに合わせるほうが角が立ちません。