結論
親戚へのお中元は親族間の慣習がいちばん優先されますので、 一般的な作法より先に、その家のやり方を確かめておくことになります。 世話になった叔父や叔母、それに本家へ贈るのが一般的な形で、 いとこ同士のあいだでは省いてしまうことのほうが多くなっています。
金額は3千円から5千円のあいだに収まりますが、この額のほうも自分だけで決めず、親族内でそろえておくことになります。 いつまで続けるかというところでは代替わりが自然な区切りになりますので、 世代が変わったところで整理する家が多くなっています。
相手別の扱い
| 相手 | 扱い | 金額 |
|---|---|---|
| 本家・親族の中心の家 | 贈っている家が多くなっています | 5千円ほどにそろえます |
| 世話になった叔父・叔母 | 贈っておくと形として自然です | 3千円から5千円にします |
| 仲人を務めた親族 | 結婚後3年程度で区切ります | 5千円ほどにそろえます |
| ふだん会わない叔父・叔母 | 慣習がなければ贈らなくて構いません | とくに決まりはありません |
| いとこ | 省いてしまうことが多くなっています | とくに決まりはありません |
| きょうだい | やり取りをしない家が多くなっています | 贈るなら3千円ほどです |
まず親のほうに「うちの親族はどうしているか」を聞いてしまうのが、この場面ではいちばん早い道になります。親族づきあいは家ごとの決まりが強く働く部分ですので、一般論よりも、その家に残っている慣習のほうが優先されます。
親族の慣習を確かめる
結婚して初めての夏を迎えたころ、親戚へお中元を贈るべきなのかどうかというところで迷うことになります。 作法の本を開いてみても親族についてはあまり書かれていませんし、配偶者に尋ねてみたところで、実家のやり方をはっきり知っているとは限りません。
親戚づきあいの贈答には家ごとの決まりが強く働いていて、やり取りのある家と、はじめから何もしない家とにきれいに分かれることになります。 自分の判断だけで始めてしまうと、その家の中で浮くことになりますので、作法よりも先に、慣習のほうを確かめておくことになります。
| 聞くこと | 聞く相手 |
|---|---|
| 親族間でやり取りがあるか | 親に尋ねるのがいちばん早くなります |
| 誰に贈っているか | 親か、年長のきょうだいに尋ねておきます |
| 金額の相場 | 親に聞けば、親族内でそろっている額が分かります |
| やめた家があるか | こちらも親に尋ねておけば分かります |
| 配偶者側の親族 | 配偶者に確かめてもらうことになります |
親族のあいだでは、すでに包む金額のほうがそろってしまっていることが多くなります。一人だけ高くても低くても目立つことになりますので、品を選ぶ前に、まず相場のほうを聞いておくのが確実になります。
親に尋ねるときは、贈っているかどうかだけでなく、過去にやめた家があるかどうかというところまで聞いておくと後々役に立ちます。 いったん途絶えた相手にこちらから贈り始めてしまうと、向こうも用意し直すことになりますので、そこで新しい負担が生まれます。
配偶者側の親族については、こちらから直接尋ねてしまうと角が立ってしまうことがあります。配偶者に確かめてもらう形にしておけば、 実家の親のほうに気軽に聞いてもらえますので、そのほうが早く、なおかつ正確に分かります。
誰に贈るか
親族に贈るという方針が決まったところで、今度はどこまでを対象にするかというところが問題になります。 叔父や叔母、いとこ、それに本家まで数えていくと十軒を超えることもありますので、その全部に毎年贈るということになると、夏と冬の二回とも同じ作業が続きます。
ここで効いてくるのは一度始めると減らしにくいという点で、翌年に急に外すというわけにいきません。 翌年になって急に外すということはしにくいものですので、最初に広げてしまうと、その人数がそのまま何年も続いていくことになります。
| 贈る理由がある相手 | なぜ贈るのか |
|---|---|
| 本家 | 法事や墓の管理を担っていることが多いためです |
| 世話になった叔父・叔母 | 具体的な恩があるという理由が立ちます |
| 仲人を務めた親族 | 結婚後3年程度という慣習が残っているためです |
| 子どもを預かってもらっている | 日ごろかけている負担へのお礼にあたります |
| 先方から贈られてきた | 翌年から贈り返すのが自然な流れになります |
「親戚だから」という理由だけで対象を広げてしまわないほうが、結局は賢明ということになります。人数が増えればそのまま毎年の負担になっていきますので、なぜその相手に贈るのかを言葉にできる相手だけに絞っておいてください。
本家に贈る家が多いのは、法事の場を整えたり墓の管理を引き受けたりしているという事情によるものです。日ごろ表には出ない負担を担っている相手にあたりますので、 親族の中でも、贈る理由のいちばんはっきりしている相手ということになります。
先方から先に届いてしまったのであれば、翌年からこちらも贈るというのが、いちばん自然な流れになります。その年のうちに慌てて贈り返すとお返しのように見えてしまいますので、 その年のうちはお礼の連絡だけを入れておき、翌年の同じ時期に合わせて贈り始めれば、それで形が整います。
金額の目安
贈る相手が決まったところで、今度はいくらくらいのものを選ぶかというところが残ってきます。 日ごろ世話になっている叔父や叔母には少し多めにと考えたくなりますが、親戚への贈り物というのは、自分だけで額を決められる性質のものではありません。
親族の集まりでは何が届いたかが話題になりますので、同じ立場の親戚のあいだで差があると、それがそのまま伝わってしまいます。 額をそろえておくのは見栄のためではなく、受け取った側に余計なことを考えさせないための配慮にあたります。
| 相手 | お中元 | お歳暮 |
|---|---|---|
| 本家 | 5千円ほどにそろえます | 5千円ほどにそろえます |
| 叔父・叔母 | 3千円から5千円のあいだにします | こちらも3千円から5千円にします |
| 仲人を務めた親族 | 5千円ほどにそろえておきます | こちらも5千円ほどにします |
| いとこ | 3千円ほどに収めておきます | こちらも3千円ほどにします |
同じ立場にある親戚のあいだでは、包む額のほうを同じところにそろえておいてください。親族のあいだでは品物の内容まで話題になることがありますので、額でも品でも、差をつけないほうが安全になります。
親族のあいだでは額がすでにそろっていることがほとんどですので、相場を聞いてしまえば、そこから外れる心配はなくなります。 一人だけ高くしてしまうと、周りの方が来年から額を上げなければと考えることになりますので、善意で始めたことが、そのまま負担として広がっていきます。
逆に一人だけ低いということになれば、そちらもやはり同じように目に付いてしまいます。同じ立場にある親戚のあいだでは、迷ったときに相場のまん中へ寄せておけば、 額のことで気を回さずに済みますので、そこで判断を止めておいて構いません。
品物の選び方
毎年の贈り物ということになると、去年と同じものを選んでよいのかどうかが気になってきます。 同じ品が続くと手を抜いているように見えるのではないかと考えて、 売り場で別のものを探し始めることになりますが、親戚への贈り物ではそこは気にしません。
むしろ考えておきたいのは先方の家族の人数のほうで、そこで向き不向きが決まってきます。 高齢の二人暮らしに大容量の詰め合わせが届くと使いきれませんので、 分けられる量かどうかで、向き不向きがはっきり分かれてきます。
| 条件 | 理由 |
|---|---|
| 家族の人数に合う量 | 高齢の二人暮らしに大容量は負担になってしまいます |
| 日持ちする | 留守にしていることもありますので、余裕を見ます |
| 常温 | 冷蔵庫を圧迫しないものにしておきます |
| 地域の名産 | 話題になりますし、選んだ理由も立ちます |
| 毎年同じでよい | 定番になれば、選ぶときに迷いません |
親戚への贈り物というのは、基本的に「毎年同じもの」を続けて構わないことになります。むしろ「今年もあれが届いた」と定着するほうが、受け取る側も心づもりができますし、贈る側にとっても選ぶ手間が省けることになります。
住んでいる地域の名産を選んでおけば、それだけで受け取った側の話題にもなってくれます。なぜその品なのかという理由も立ちますので、 毎年同じものを続けても、手を抜いているようには見えません。
量のほうについては、年ごとに一度見直しておくほうがかえって親切ということになります。先方が高齢になってきたのであれば同じ品でも小さいものへ切り替え、 要冷蔵のものは避けておけば、受け取ったあとの置き場所で困らせずに済みます。
品物の選び方を詳しく見るいつまで続けるか
何年か続けているうちに、これをいつまで続けていくのかというところが気にかかってきます。 始めるときは相手との関係がはっきりしていても、 年月がたつと会う機会が減っていき、贈る理由のほうが薄れていきます。
やめること自体は失礼にあたりませんが、 区切りになる節目を選んでおくと、相手も不自然に感じません。 関係そのものが変わる時点であれば、 どちらの側にも理由が見えますので、そこで自然に途切れることになります。
| 区切り | 考え方 |
|---|---|
| 代替わり | もっとも自然な区切りで、世代が変われば関係も変わります |
| 仲人は3年程度 | 慣習としてはじめから区切りが決まっています |
| 先方がやめた | こちらも合わせて構いません |
| 世話になっていた事情が終わった | 理由がなくなったのであれば、やめて構いません |
| 高齢で受け取りが負担になった | やめるか、軽いものに変えることになります |
代替わりというのは、贈答をやめる理由として誰も不自然には思わないものになります。贈っていた相手が亡くなったときや、自分の親が亡くなったときといった節目で、そのまま自然に区切る家が多くなっています。
高齢の親戚に贈るときには、量と重さのほうにもあわせて気を配っておいてください。大きな箱や重い瓶、要冷蔵の大容量ということになると、受け取ることも保管することもそのまま負担になります。年齢が上がってきたのであれば、軽く、少量で、常温のものへ切り替えておいてください。
たくさん贈れば贈るほど丁寧だという考え方は、この場面には当てはまらないことになります。玄関先で受け取って台所まで運ぶというところまで想像しておけば、 どのくらいの大きさが適当なのかは、おのずと決まってきます。
親から引き継ぐ場合
親が高齢になってくると、これまで続けてきた贈答を引き継ぐのかどうかという話が出てきます。 年に二回、十軒近くへ手配してきた作業を代わるとなると、 そのまま同じ形で続けてよいものかどうかというところで迷います。
ここで押さえておきたいのは、 親の代の関係が、そのまま自分の関係とは限らないという点になります。 渡された一覧には顔も知らない相手が入っていることもありますので、 引き継ぐ範囲のほうを、先に決めておくことになります。
| 状況 | やり方 |
|---|---|
| 親が高齢になった | 差出人を自分の名前に切り替えていきます |
| 親が亡くなった | そのまま続けるか、この機に整理するかを決めます |
| 相手が分からない | 親の贈答記録を確認しておきます |
| 金額が分からない | 先方から届く品の価格帯に合わせておきます |
| 全部は続けられない | 関係の近い相手だけを残すことになります |
親の代の贈答を、そっくりそのまま引き継がなければならないというものではありません。代が替われば関係のほうも変わっていきますので、自分が無理なく続けられる範囲に絞ってしまって構いません。
差出人の名前を自分のものに切り替えるときは、その年に一言添えておけば、代が替わったことがそのまま伝わります。 翌年からは自分の名前だけで届くことになりますので、改まった挨拶状を別に出す必要もありません。
相手が誰なのか分からないという場合には、親の残した贈答の記録のほうを先に確かめておきます。金額の見当が付かないのであれば、 先方から届く品の価格帯に合わせておけば、そこから大きく外れることはありません。
親戚への贈り方に一つだけの正解があるわけではなく、 その家に残っている慣習と、なぜその相手に贈るのかという理由の二つがそろっていれば、 それで足ります。 いとこ同士で省いている家であればそれに合わせればよいですし、 本家だけに絞っている家であれば、そこへそろえておけば浮くこともありません。
どの場面でも変わらないのは、自分の判断だけで始めてしまわないという一点だけになります。 先に親へ尋ねておけば、金額の相場も、やめた家があるかどうかも一度に分かりますので、 作法を細かく思い出せなくてもその家の形から外れることはありませんし、 受け取る側にも、余計な気を回させずに済みます。
よくある質問
親戚にお中元は贈るものですか?
親族間の慣習がいちばん優先されますので、まず親に「うちの親族はどうしているか」を聞いてください。世話になった叔父や叔母、それに本家へ贈るのが一般的な形で、いとこ同士のあいだでは省いてしまうことのほうが多くなっています。
誰まで贈ればよいですか?
「親戚だから」という理由だけで広げないほうが賢明です。本家、世話になった叔父や叔母、仲人を務めた親族、子どもを預かってもらっている相手、先方から贈られてきた相手といった、贈る理由を言葉にできる相手に絞ってください。一度始めると減らしにくくなります。
金額はいくらにしますか?
本家と仲人を務めた親族には5千円ほど、叔父や叔母には3千円から5千円、いとこには3千円ほどが目安になります。ただし親族内では額がそろっていることが多いものですので、品を選ぶ前に、親から相場を聞いておくのが確実です。
毎年同じ品でもよいですか?
構いません。むしろ「今年もあれが届いた」と定着するほうが、受け取る側も心づもりができますし、贈る側にとっても選ぶ手間が省けます。ただし先方が高齢になってきたのであれば、同じ品でも小さいものへ切り替えておいてください。
いつまで続ければよいですか?
代替わりがもっとも自然な区切りになり、やめる理由として誰も不自然には思いません。贈っていた相手が亡くなったときや、自分の親が亡くなったときといった節目で自然に区切る家が多くなっています。仲人を務めた親族へは、結婚後3年程度が慣習上の区切りです。
親の贈答を引き継ぐときは?
すべてを引き継ぐ必要はありません。親が高齢になったのであれば差出人を自分の名前に切り替え、続けられない相手については、関係の近い方だけを残して構いません。相手が分からなければ親の贈答記録を確かめ、金額は先方から届く品の価格帯に合わせておきます。
まとめ
- まず親に親族の慣習を聞きます
- 本家と世話になった叔父・叔母に贈ります
- いとこ同士では省くことが多くなっています
- 金額は3千円から5千円にします
- 同じ立場の親戚には同じ額にそろえます
- 品物は毎年同じもので構いません
- 高齢の親戚には軽く少量のものにします
- やめるなら代替わりを区切りにします
参考情報
- 郵便局のネットショップ「お中元の熨斗(のし)のマナー|水引の種類と結び方、正しい表書き」
https://www.shop.post.japanpost.jp/column/ochugen/ochugen_noshi.html - 高島屋「進物の基礎知識」
https://www.takashimaya.co.jp/giftnavi/shinmotu_01.html - 三越伊勢丹「のし紙とかけ紙の正しいマナー」
https://www.mistore.jp/gift/manner/knowledge/noshi_mizuhiki/article/noshi_manner.html
金額の目安(3千〜5千円)と、掛け紙(紅白の蝶結び・のし付き・「御中元」)については、参照した情報源で共通しています。身内へお中元を贈るかどうかは家ごとの慣習によりますので、本記事では「贈るべき」とはせず、確かめ方と決め方を示しています。
本記事で紹介している金額や作法は一般的な目安であり、地域やご家庭、業界の慣習によって異なる場合があります。お勤め先や取引先の規定によって贈答が制限されていることがありますので、事前にご確認ください。