結論

お中元をやめようと考えたのであれば、その年から一度に断ち切ってしまうのではなく、段階的に減らしていくほうが角は立ちません。 まずお中元をやめてお歳暮だけにするところから始め、次に表書きを「暑中御見舞」に変える、 最後は挨拶状だけにするという順に下げていけば、相手の目にも不自然には映りません。

言葉ではっきり伝えるという方法もありますが、こちらは受け取った側に「断られた」と感じさせやすい形になります。 勤め先の規定で受け取れなくなった、高齢になって続けられなくなったというように、 理由を添えられるときだけにしておいてください。

段階的な減らし方

段階やること相手の受け取り方
1お中元をやめ、お歳暮だけに切り替えますごく一般的な形で、不自然には映りません
2品物の金額のほうを少しだけ下げます差が小さく、気づかれにくくなります
3表書きを「暑中御見舞」「寒中御見舞」に変えます格が下がり、区切りやすくなります
4年賀状や暑中見舞いの挨拶状だけにします品物は止まっても関係のほうは続きます
5品物のやり取りそのものを終えますここまで来れば自然に収まっています

いきなり止めてしまうと、相手のほうに「何かあったのか」と思わせることになりますので、急いで区切りを付けようとしないでください。1年で1段階ずつ下げていけば、2〜3年かけて自然に終えられますので、その年ごとに一段だけ動かすという形にしておいてください。

やめてよいという前提

毎年きちんと届けてきた相手に対して、今年からは贈らないでおくということが許されるのかどうか、送り状の下書きを前にして手が止まることがあります。 品物を選ぶ手間や費用そのものよりも、やめたと受け取られたときに相手が何を思うかのほうが、気にかかったままになります。

お中元は毎年続けるものとされてきましたが、永遠に続けなければならないものと決まっているわけではありません。 何をもって区切りとするかは相手との関係の変わり方で決まってきますので、まずは自分の側にどんな事情があるのかを、一度並べてみるところから始めてください。

やめる理由になるもの内容
関係が変わった異動や退職、卒業や代替わりで立場が変わりました
世話になった事情が終わった仲人であれば3年程度という慣習が残っています
相手が辞退している意思がすでに示されていますので、すぐにやめます
負担になってきたそれだけで十分な理由として通ることになります
何年も交流がない品物だけが行き来している状態になっています

やめる理由のほうを相手に説明して回る必要はありませんので、自分の中で整理が付いているのであれば、それだけで十分に足ります。理由を並べて伝えようとすると、かえって相手のほうに気を遣わせることになりますので、こちらで納得したうえで静かに下げていってください。

贈答の習慣そのものが近ごろは目に見えて簡素になってきており、会社では「虚礼廃止」を掲げるところが増えました。 個人の家でも、年に二度そろえていた贈り先の一覧を夏の前に見直すという話は、もう珍しいものではなくなっています。

負担を感じながら無理に続けていると、贈る側だけでなく、返礼のほうを考える受け取る側までつらくなってしまいます。 やめること自体が失礼にあたるわけではありませんので、やめ方のほうにだけ気を配っておけば、それで足りることになります。

段階的に減らす

やめると決めたところで、では今年の夏から何も送らないでおいてよいのかというと、そこでもう一度迷うことになります。 去年まで毎年届いていた箱がぱたりと来なくなるというのは、受け取る側から見れば、かなり大きな変化として目に映ります。

そこで手がかりになるのが、一度に落とす幅を小さくしておくという考え方で、これは金額にも回数にも同じように当てはまります。 同じ「やめる」であっても一年に一段ずつ下げていけば、相手が変化に気づくころには次の形が定着していますので、そこで身構えられずに済みます。

年やること
1年目お中元をやめ、お歳暮だけに切り替えます
2年目お歳暮の金額を下げるか、「寒中御見舞」に変えます
3年目年賀状と暑中見舞いの挨拶状だけにします
以降挨拶状だけを続けるか、そのまま自然に終えます

挨拶状のほうを残しておけば、そこで関係が切れてしまうことはなく、品物のやり取りだけをやめて年に一度の便りは続けるという形にできます。贈答をたたむことと、つきあいそのものをたたむこととは別の話になりますので、そこを分けて考えておいてください。

長く続けてきた親戚が相手であれば、一年目に届いた荷物がお歳暮の一箱だけになった時点でも、たいていは何も言われないまま通り過ぎます。 年末の一箱が残っている限り、相手の側には「今年も届いた」という記憶のほうが先に立ちますので、夏の分が抜けたことまでは数えられません。

二年目に金額を下げるときは、同じ売り場の同じ系統の品から選び直しておくと、箱の大きさや見た目がそろいますので、そこで変化が目立ちません。 三年目に挨拶状だけへ移すころには、品物が行き来していた記憶そのものが薄れていますので、はがき一枚だけになっても、そこで区切りが付いたと受け取られます。

まずお中元をやめる

年に二度ある贈答のうち、夏のお中元と冬のお歳暮のどちらを先に落とすのかというところで、また手が止まることになります。 どちらを残しても同じように思えますが、この二つは昔から同じ重さのものとして扱われてきたわけではありません。

判断が分かれるのは、片方だけを残すと決めたときに、夏と冬のどちらのほうを残しておくかという一点になります。 ここを取り違えてしまうと、負担を減らしたつもりの一手が、かえって不自然な形として相手の目に残ることになります。

残すもの評価
お歳暮だけ残すもっとも一般的な形で、自然に見えます
お中元だけ残す順序が逆になり、不自然に見えてしまいます
両方やめる段階を踏んでいれば差し支えありません

お歳暮は一年間のお礼という意味を持つぶん、お中元よりも重く扱われてきましたので、お中元だけを贈ってお歳暮を贈らないという形は不自然に見えます。その逆に、お歳暮だけを贈るという形はごく一般的なものですので、そこで不審に思われることはありません。

「今年からお歳暮だけにしたようだ」と相手に気づかれたとしても、そこで理由を尋ねられるようなことは、まず起こりません。 夏の贈答をやめて年末だけにそろえている家はいくらでもありますので、そのうちの一軒が増えたというだけの話になります。

贈る側から見れば、この一手だけで年間の負担がそのまま半分になりますし、品選びも送り状も年に一度で済むようになります。 手が空いたぶんだけ、残した年末の一箱のほうに時間をかけられますので、品を選び直す余裕も生まれます。

はっきり伝える場合

段階を踏んで黙って下げていく方法とは別に、最後に贈るときの送り状のほうで区切りを伝えてしまうという形もあります。 黙ってやめると相手が理由を探すことになりますので、事情がはっきりしているのであれば、言葉にしておくほうが誠実に映ります。

ただし伝え方のほうには気を配ることになり、同じ内容であっても書き方ひとつで、関係そのものを断ったように読まれることがあります。 まずは、言葉にして伝えたほうがよい場面なのかどうかというところから見分けておくと、書き方でも迷わずに済みます。

伝えたほうがよい場合理由
相手も贈ってくれている相手だけを続けさせないために伝えておきます
規定で受け取れなくなった理由がはっきりしていますので、そのまま伝わります
親族間で足並みをそろえるほかの家の判断にも影響が及ぶことになります
高齢になり続けられない事情を伝えれば、たいてい納得していただけます

相手のほうからも毎年届いているのであれば、伝えておくほうが親切な形になり、黙ってやめてしまうと、こちらの意図が伝わらないまま相手だけが贈り続けることになります。何も知らないままでは、その年の分の品まで用意させてしまうことになります。

最後に贈るときに添える文面としては、「いつも温かいお心遣いをいただき、ありがとうございます。 誠に勝手ながら、今後はお互いに気を遣わずにおつきあいさせていただければと存じます。 ご挨拶は変わらず申し上げますので、どうぞお気遣いなさいませんようお願いいたします。 これからも変わらぬおつきあいをいただければ幸いです」といった形が使いやすくなっています。

ここで効いているのは「お互いに」という言い方で、こちらだけが辞退しているのではなく、双方の負担を減らす提案として読めるところにあります。 そのため受け取った側も、自分の贈り物のほうが断られたのだという読み方をせずに済むことになります。

書き方評価
「お互いに気を遣わずに」角が立たず、双方の負担を減らす提案になります
「本年をもちまして失礼します」はっきりしますが、冷たく響くことがあります
理由を細かく書くかえって気を遣わせますので、書く必要はありません
「ご挨拶は変わらず」関係を続ける意思がそのまま伝わります

「今後も関係は続けたい」という意味の一言のほうを、文面のどこかに必ず入れておいてください。品物のやり取りをやめるだけであって、つきあいそのものをやめるわけではないという点が、その一言だけで相手に伝わることになります。

「本年をもちまして失礼します」という書き方は、確かに用件としてはいちばんはっきりした形になります。 ただし年末の挨拶状にこの一行だけが並んでいると、読んだ側には縁を切られたように響くことがありますので、続きの一文を必ず添えておいてください。

やめる理由をこまごまと書き並べることも、この場面では必要にはならず、むしろ相手に気を遣わせる材料になってしまいます。 家計の事情や健康の事情まで書いてしまうと、読んだ相手のほうが心配して、かえって別の形の気遣いを返してくることになります。

相手別の進め方

同じやめ方がどの相手にもそのまま使えるわけではなく、仕事で世話になっている上司と、何十年も行き来のある親戚とでは、区切りとして通る出来事そのものが違ってきます。 品物を止める時機も、伝える相手も、そこでそれぞれ変わることになります。

とくに仕事の関係では自分ひとりの判断だけでは決められず、会社としての方針があり、伝え方も社内でそろえることになりますので、動く前に確かめておくほうが安全です。 個人の名前で出した便りであっても、社外の相手であれば会社の意思として読まれることになります。

相手進め方
上司異動や退職を区切りにするのがもっとも自然です
取引先会社の方針として伝え、担当者個人では決めません
仲人結婚後3年程度で区切るという慣習があります
義実家配偶者のほうから伝えてもらう形にします
親戚代替わりのところを区切りにしておきます
習い事の先生やめるときか、教室の慣習のほうに合わせます

取引先については担当者が個人で判断するところではありませんので、会社としての方針が変わったのであれば、その旨を送り状などで伝えるのが通例になります。どの相手にどう伝えるかも含めて、文面を書き始める前に上長のほうへ確かめておいてください。

義実家が相手のときは、嫁いだ側や婿に入った側から直接伝えるのではなく、実の子である配偶者のほうから話してもらってください。 同じ内容であっても、実の親子のあいだで交わされたほうが事情としてそのまま受け取られますし、あとに角も残りません。

親戚づきあいであれば代替わりのところが区切りになりますので、贈答をとりまとめていた親の代から自分の代へ移った時点で、どこまで続けるかを兄弟のあいだで決め直しておいてください。 そこでそろえておけば、あとから家ごとに形が違ってくることもありません。

義実家へのお中元を見る

やめたあと

こちらが下げ終わったあとにも片付かない場面が一つ残っていて、相手のほうからは今までどおりに箱が届き続けるという状態が、それにあたります。 玄関で判を押して受け取るたびに、こちらだけがやめてしまったという落ち着かない気持ちが残ることになります。

こちらがやめたという事情は、相手のほうにはっきり伝わっていないことがあり、その年だけ都合が悪かったのだろうと受け取られたまま、次の年を迎えている場合もあります。 そのため、届いたときの返し方のほうで、こちらの区切りを示していくことになります。

状況対応
相手からは届き続けるお礼状を出し、そこで辞退を伝えても構いません
関係を続けたい年賀状と暑中見舞いのほうを続けていきます
再開したくなったいつでも再開して差し支えありません
会う機会がある会ったときの手土産へ切り替えておきます
節目のお祝いがあるその都度贈っておけば、それで十分に足ります

贈答をやめたからといって、そこで関係まで終わってしまうわけではなく、品物のやり取りをひとつやめただけということになります。会ったときに渡す手土産や、年に一度の便りだけであっても、十分につながっていられることになります。

相手のほうから届き続けるようであれば、まずお礼状を出したうえで、その文面に辞退の一言を添えておいてください。 品物が届いた直後という時機であれば、辞退の申し出も唐突には響きませんので、相手も次の年から手を止められます。

いったんやめたあとで、また贈りたくなるという場面も出てきますが、世話になる機会が戻ってきたのであれば、そこから再開して差し支えありません。 一度区切りを置いたことをあとになって持ち出す相手もいませんので、改まって断りを入れる必要もありません。

やめ方に一つだけの正解があるわけではなく、相手との関係がどう変わったかによって、 通る区切りのほうも変わってきます。上司であれば異動や退職がそのまま区切りになりますし、 とくに出来事のない相手であれば、お中元をやめてお歳暮だけにするところから一段ずつ下げていけば、 それで形は整います。

どの相手でも変わらないのは、品物をやめてもつきあいまでやめるわけではないと示しておく一点だけです。 年賀状や暑中見舞いを残しておくか、最後の送り状に「ご挨拶は変わらず」と一言添えておけば、 細かな文面を思い出せなくても失礼にはなりませんし、 受け取る側も、断られたという読み方をせずに済みます。

よくある質問

お中元をやめてもよいですか?

やめて構いません。毎年続けるものとされますが、永遠に続けなければならないものではありません。会社では「虚礼廃止」を掲げるところが増え、個人でも見直す家が多くなりました。やめ方に気を配ればよいだけです。

いちばん角が立たないやめ方は?

段階的に減らす方法です。1年目はお中元をやめてお歳暮だけにし、2年目は金額を下げるか「寒中御見舞」に変え、3年目は年賀状・暑中見舞いだけにします。1年で1段階ずつなら2〜3年で自然に終えられます。

なぜお中元から先にやめるのですか?

お歳暮は1年間のお礼で、お中元より重く扱われるためです。お中元だけを贈ってお歳暮を贈らないのは不自然に見えますが、お歳暮だけを贈るのはごく一般的で、不審に思われません。

はっきり伝えたほうがよい場合はありますか?

相手も贈ってくれている場合は伝えるほうが親切です。黙ってやめると相手だけが贈り続けることになります。規定で受け取れなくなった場合や、高齢で続けられない場合も、伝えれば納得されます。

伝えるときは何と書けばよいですか?

「今後はお互いに気を遣わずにおつきあいさせていただければ」といった言い方が角が立ちません。「本年をもちまして失礼します」ははっきりしますが冷たく響くことがあります。「ご挨拶は変わらず」と関係を続ける意思を必ず添えてください。

やめたあと、関係はどうなりますか?

終わりません。品物のやり取りをやめただけです。年賀状や暑中見舞いを続ける、会ったときに手土産を渡す、節目のお祝いはその都度贈る、といった形で十分につながっていられます。再開したくなればいつでも再開できます。

まとめ

  • やめ方に気を配れば、やめて構いません
  • 一度にやめず、段階的に減らします
  • まずお中元をやめ、お歳暮だけにします
  • 次に「暑中御見舞」から挨拶状だけへ下げます
  • お中元だけを残す形にはしません
  • 相手も贈っているなら言葉で伝えます
  • 「ご挨拶は変わらず」の一言を添えます

参考情報

  1. 郵便局のネットショップ「お中元の熨斗(のし)のマナー|水引の種類と結び方、正しい表書き」
    https://www.shop.post.japanpost.jp/column/ochugen/ochugen_noshi.html
  2. 高島屋「進物の基礎知識」
    https://www.takashimaya.co.jp/giftnavi/shinmotu_01.html
  3. 三越伊勢丹「のし紙とかけ紙の正しいマナー」
    https://www.mistore.jp/gift/manner/knowledge/noshi_mizuhiki/article/noshi_manner.html

お中元が毎年続けるものとされること、お中元とお歳暮の一方だけにするならお歳暮を残すことは、参照した情報源で共通しています。やめ方については「はっきり伝える」「自然に減らす」と説明が分かれるため、本記事では両方を示したうえで、段階的に減らす方法を基本としています。

本記事で紹介している内容は一般的な目安です。地域やご家庭、業界の慣習によって異なる場合があります。親族間のやり取りは、まずご家族に慣習を確かめてください。