結論

上司へお中元を贈ろうと考えたのであれば、売り場で品を選ぶよりも先に、会社の規定のほうを確認しておいてください。 「虚礼廃止」として社内の贈答そのものを禁じている会社もありますので、 そこを確かめないまま送ってしまうと、受け取る側に返送という手間をかけることになります。

規定に触れないと分かったのであれば、次は同僚と足並みをそろえるというところが問題になります。 金額は5千円があたりの目安になり、送り先のほうは会社ではなく自宅宛に個人名で送るのが基本になりますので、 職場の机の上で受け取らせてしまうような形にはしないでください。

贈る前に確認すること

確認なぜ
1. 会社の規定そもそも禁止していることがあります
2. 同僚がどうしているか一人だけ贈ると、社内で目立つことになります
3. これまでの慣例部署ごとに違っていることがあります
4. 上司の考え方受け取らない方針の方もいらっしゃいます
5. 送り先自宅宛が基本で、会社宛は避けます

近年は、上司へのお中元をやめてしまうという流れのほうが、はっきり強まってきています。「虚礼廃止」を掲げる会社が増えてきましたので、贈らないことが当たり前になっている職場も多くなりました。

会社の規定を確認する

配属されて初めての夏を迎えるころになると、上司へお中元を贈るべきなのかどうかというところで迷うことになります。 作法の本には目上の方への贈り方が書かれていますのでそれに従えばよいように思えますが、会社という場では、その前に別の関門が一つ待っています。

「虚礼廃止」として社内の贈答そのものをやめた会社は少なくありませんので、そもそも贈ってよいのかどうかというところを、いちばん先に確かめておくことになります。 就業規則やコンプライアンス規程に書かれていることもありますし、 公務員であれば、国家公務員倫理法などで利害関係者からの贈答が制限されています。

確認先聞き方
就業規則・社内規程「贈答」「儀礼」という語で検索してみます
先輩・同僚「うちの部署はどうしてます?」と尋ねます
総務規定があるかどうかを確かめておきます

上司本人のほうに「贈ってよいですか」と尋ねてしまうことだけは、避けておいてください。断りにくい立場に置いてしまうことになりますので、先輩や同僚のほうに慣例を聞くという形のほうが自然になります。

そもそも受け取れない立場にある相手のところへ品物を送ってしまうと、その方は受け取りを断ったうえで、送り返すという作業まで引き受けることになってしまいます。 こちらは日ごろの感謝の気持ちで送ったつもりであっても、受け取った側にとっては、そこから余計な手間だけが生まれることになってしまいます。

規程を調べるときは、社内の文書検索で「贈答」や「儀礼」といった語を入れて探してみてください。それらしい記述がどこにも見当たらないのであれば、総務のほうに一言尋ねておけば、規定の有無をその場で確かめられます。

同僚との足並み

規定で禁じられてはいないと分かったところで、それでもすぐに決めるわけにはいきません。 同じ部署の誰も贈っていない中で自分だけが送ってしまうと、それが上司の口から周りへ伝わったときに、社内でひときわ目立つことになります。

上司へ贈るかどうかというのはひとりで決めないほうが穏当で、贈るにしても贈らないにしても、周りと同じ形にそろえておくほうが収まります。 そろえておけばそこから余計な話が広がることもありませんので、まずは同僚がどうしているのかを確かめるところから始めてください。

状況やり方
誰も贈っていないこちらも贈らないでおくほうが無難ということになります
同僚が贈っている額と時期をそろえておくことになります
部署で連名にしているそこへ加わり、個別には贈らないでおきます
上司が複数いる全員に贈るか、誰にも贈らないかのどちらかにします
特に世話になったお中元ではなく、その都度のお礼で伝えます

一部の上司にだけ贈るということになると、社内で角が立つことになってしまいます。全員に贈るか、それとも誰にも贈らないかのどちらかにしておいてください。その中間を取ろうとすると、贈らなかった相手のほうに、その理由を考えさせてしまいます。

部署で連名にしているのであれば、そこへ加わっておくだけで足りることになります。連名に入ったうえでさらに個別にも贈ってしまうと、 同じ部署の中で一人だけ形が違うということになりますので、そこだけは重ねないでおいてください。

とくに世話になった上司がいるというような場合であっても、その気持ちはお中元という形にはしないほうが収まります。 何かしてもらったその都度にきちんとお礼を伝えておけば十分に伝わりますし、年に二回の贈答という形にしてしまうと、相手の側に返礼の負担のほうが生まれます。

金額の目安

贈ると決めたところで、今度はいくらのものを選ぶかというところが残ることになります。 日ごろ世話になっている相手ですので少し良いものをと考えたくなりますが、上司への贈り物の場合には、額を上げることがそのまま逆の方向に働くことになります。

上司という相手は、部下から贈られたものをそのまま黙って受け取れる立場ではありません。 額が大きくなればなるほど、そこで何かを返さなければという気持ちが働くことになりますので、 値段を上げることが、そのまま相手への負担に置き換わっていきます。

相手お中元お歳暮
直属の上司5千円ほどを目安にします5千円ほどを目安にします
部署の上長こちらも5千円ほどにそろえますこちらも5千円ほどにそろえます
連名(1人あたり)千円から2千円ほどを出し合いますこちらも千円から2千円にします

高額にしてしまうと、贈った側ではなくかえって受け取る側のほうが困ることになります。上司は返礼をどうするかを考える立場に置かれますので、相場の範囲に収めておくほうが、そのまま受け取ってもらえることになります。

連名で贈るのであれば、一人あたり千円から二千円ほどを出し合うことになります。人数がそろえば合計として形の整う額になってくれますし、 一人あたりの負担も軽くなりますので、そのぶん長く続けやすい形になります。

直属の上司と部署の上長とのあいだで、包む額のほうに差をつける必要はありません。どちらも五千円ほどにそろえておけば、 万一その話が両者のあいだで出たとしても、そこで気まずくなるということがありません。

品物の選び方

額が決まったところで、では実際に何を選ぶのかというところで、また手が止まります。 上司の好みまでは分かりませんし、家族が何人いるのか、何を口にしないのかといった家庭の事情も、こちらからは見えないままです。

唯一の手がかりになるのが家族構成のほうで、そこだけは日ごろの職場での会話からも見えてくることがあります。単身なのか、家族が多いのかによって、 向いている量も種類もはっきり変わってきますので、そこだけ押さえておけば品は選べます。

 品物理由
向く菓子・ハム・調味料家族で分けて使うことができます
向くコーヒー・ジュース日持ちしますので、急いで使わずに済みます
向く地域の名産話題になりますし、選んだ理由も立ちます
避ける商品券・現金金額が分かり、目上には失礼とされます
避ける時計・筆記具・カバン「勤勉に」の意味があるとされています
避ける履物・靴下・下着「踏みつける」「施す」とされてきました
避ける要冷蔵の大容量受け取ることも保管することも負担になります

家族構成が分かっているのであれば、そこに合わせて量のほうを決めてください。単身であれば少量のもの、家族が多いのであれば分けられるものということになります。お酒については、相手の好みがはっきり分かっている場合だけにしておいてください。

商品券や現金を避けるのは、受け取った側に包んだ金額がそのまま分かってしまうからになります。 目上の方に対しては失礼にあたるとされてきましたので、額が決めきれないからという理由でこれを選ぶようなことはしないでおいてください。

時計や筆記具、カバンといった品のほうには「勤勉に」という意味があるとされてきました。部下の側から上司へ贈るということになると立場が逆になってしまいますので、 履物や靴下、下着といったものと並んで、この場面では選ばれてきませんでした。

避けたほうがいいものを詳しく見る

送り先と宛名

品物が決まったところで、今度はそれをどこへ送るのかというところで迷うことになります。 会社宛にすれば確実に届きますし住所を調べる手間もありませんが、その届き方には一つだけ引っかかる点があります。

会社宛にするとほかの社員の目にも触れるという点が、そこで引っかかってきます。贈っていない同僚がそれを目にして気にすることもありますし、上司の側にしても、周りが見ている場所では受け取りにくくなりますので、 送り先は自宅にしておくのが基本になります。

項目内容
送り先自宅にします。会社宛は避けておきます
宛名個人名にし、役職は付けないでおきます
差出人自分のフルネーム(連名なら「〇〇部一同」)にします
表書き「御中元」としておきます
内・外配送になりますので、内のしにします
送り状出しておくほうが丁寧な形になります

会社宛に送ってしまうと、その荷物がほかの社員の目にも触れることになります。贈っていない同僚が気にしたり、上司のほうが受け取りにくくなったりすることがありますので、自宅宛にしておくのが基本になります。

宛名のほうには、部長や課長といった役職を付けないでおいてください。会社の関係としてではなく個人として贈るものになるためで、 自宅へ届く荷物に部長や課長といった肩書が入っていると、そこだけ職場の空気が持ち込まれることになってしまいます。

送り状を先に出しておけば、荷物のほうだけが突然届くということにはなりません。親しい相手であれば省いてしまっても差し支えありませんが、上司が相手ということであれば、一枚出しておくほうが丁寧な形になります。

送り状の書き方と例文を見る

異動・退職したら

何年か続けているうちに、上司のほうが異動になったり、あるいは自分が別の部署へ移ったりという場面が、いずれ訪れることになります。 そこで贈答を続けるべきなのかどうかというところが、あらためて問題になってきます。

やめるきっかけがないまま何年も続いていたのであれば、ここがちょうどよい区切りになります。 直属の上司ではなくなった時点で関係の性質そのものが変わりますので、そこで途切れたとしても、相手のほうも不自然には思いません。

状況扱い
上司が異動したやめる自然な区切りということになります
自分が異動したこちらも同じように区切りになります
上司が退職した続けるかどうかは、個人的な関係次第になります
自分が退職したその年のところで区切ってしまって構いません
世話になり続けている個人のつきあいとして続けて構いません

異動や退職というのは、贈答をやめる理由として誰も不自然には思わないものになります。続けたいという場合であっても、会社の関係ではなく個人のつきあいに変わったのだと考えておけば、そこで整理が付くことになります。

上司が退職したあとも続けるかどうかというところは、仕事を離れてもつきあいが残っているかどうかで決まってきます。 年賀状のやり取りが続いているような相手であれば続けて構いませんし、職場だけの関係だったのであれば、そこで区切ってしまっても差し支えありません。

自分のほうが退職するという場合も、その年のところで区切ってしまって構いません。やめ方そのものに迷うということであれば、失礼にならない形については別の記事のほうにまとめてあります。

失礼にならないやめ方を見る

贈るかどうかに一つだけの正解があるわけではなく、 会社の規定と、同僚がどうしているかの二つを確かめれば、そこで答えは決まります。 虚礼廃止を掲げている会社であれば贈らないでおけばよいですし、 部署で連名にしているのであれば、そこへ加わっておけば形は整います。

どの場面でも変わらないのは、上司本人のほうには尋ねないという一点だけになります。 断りにくい立場に置いてしまうことになりますので、先輩や同僚のほうに慣例を聞いておけば、 作法を細かく思い出せなくても外すことはありませんし、 上司の側にも、受け取るかどうかで気を回させずに済みます。

よくある質問

上司にお中元は贈るべきですか?

まず会社の規定を確認してください。「虚礼廃止」として社内の贈答をやめた会社は少なくありませんし、公務員であれば国家公務員倫理法などで利害関係者からの贈答が制限されています。近年は贈らないことが当たり前になっている職場も多くなりました。

規定があるかどうかはどう調べますか?

就業規則やコンプライアンス規程を「贈答」「儀礼」といった語で検索してみてください。見当たらなければ総務に尋ねれば確かめられます。上司本人に「贈ってよいですか」と聞くのは、断りにくい立場に置いてしまいますので避け、先輩や同僚に慣例を聞いてください。

自分だけ贈ってもよいですか?

同僚の誰も贈っていない中で自分だけ送ると、社内で目立つことになります。贈るにしても贈らないにしても、周りと同じ形にしておくほうが穏当です。上司が複数いる場合も、全員に贈るか誰にも贈らないかのどちらかにしてください。

金額はいくらにしますか?

直属の上司にも部署の上長にも5千円ほどが目安で、お中元もお歳暮も同じです。連名であれば1人あたり千円から2千円ほどを出し合います。高額にすると上司が返礼を考える立場に置かれて受け取りにくくなりますので、相場の範囲に収めてください。

どこへ送ればよいですか?

自宅宛に、個人名で送ってください。会社宛にするとほかの社員の目に触れますので、贈っていない同僚が気にしたり、上司のほうが受け取りにくくなったりします。宛名に役職は付けず、表書きは「御中元」、配送になりますので内のしにします。

上司が異動したら続けますか?

異動はやめる自然な区切りになりますので、そこで途切れても相手は不自然に思いません。退職した場合に続けるかどうかは、仕事を離れてもつきあいが残っているかによります。続けたい場合も、会社の関係ではなく個人のつきあいに変わったと考えれば整理が付きます。

まとめ

  • まず会社の規定を確認します
  • 上司本人には尋ねません
  • 同僚と足並みをそろえます
  • 一部の上司にだけ贈ることはしません
  • 金額は5千円を目安にします
  • 商品券と現金は避けます
  • 送り先は自宅にし、個人名で送ります
  • 異動や退職をやめる区切りにします

参考情報

  1. 郵便局のネットショップ「お中元の熨斗(のし)のマナー|水引の種類と結び方、正しい表書き」
    https://www.shop.post.japanpost.jp/column/ochugen/ochugen_noshi.html
  2. 高島屋「進物の基礎知識」
    https://www.takashimaya.co.jp/giftnavi/shinmotu_01.html
  3. 三越伊勢丹「のし紙とかけ紙の正しいマナー」
    https://www.mistore.jp/gift/manner/knowledge/noshi_mizuhiki/article/noshi_manner.html

金額の目安(3千〜5千円)と、掛け紙(紅白の蝶結び・のし付き・「御中元」)については、参照した情報源で共通しています。身内へお中元を贈るかどうかは家ごとの慣習によりますので、本記事では「贈るべき」とはせず、確かめ方と決め方を示しています。

本記事で紹介している金額や作法は一般的な目安であり、地域やご家庭、業界の慣習によって異なる場合があります。お勤め先や取引先の規定によって贈答が制限されていることがありますので、事前にご確認ください。