結論
結納は両家で婚約を形にする儀式で、 金品を決まった順に受け渡すところが、親睦を目的とした顔合わせ食事会と違います。 いまでは実施する人は少なく、行ったのは全体の7パーセントほどです。
するかしないかは両家の親の考えで決まることがほとんどですので、 二人だけで結論を出さず、それぞれが自分の親に希望を尋ねたうえで、 形式・金額・日取り・服装の順に詰めていくと話がまとまります。
結納とは何をする場か
結婚が決まってから式までのあいだに、親から「結納はどうするの」と尋ねられて、 そこで初めて言葉の中身を調べ始めるという順序になる方が少なくありませんし、 周りに経験者がいないため人に聞いて確かめることもできません。
結納がほかの行事と違うのは、金品の受け渡しがその場の目的になっている点で、 食事をしながら親しくなるための会ではなく、 決められた順で品を差し出し、受けたことを書面で返すという手順そのものが中身にあたります。
| 結納で行うこと | 中身 |
|---|---|
| 結納品を納める | 男性側が用意した品を、決まった口上とともに差し出します |
| 結納金を渡す | 婚礼の支度金として、のし袋か桐箱に入れて添えます |
| 目録を改める | 受け取った側が中身を確かめ、家族で順に目を通します |
| 受書を返す | 確かに受け取ったという書きつけを、その場で返します |
| 結納返しを渡す | 関東式では、女性側からも同じ形で品を差し出します |
| 祝い膳を囲む | 儀式のあとで、両家そろって食事の席に移ります |
顔合わせと結納を分けているのは、進行役が誰かという一点です。顔合わせは親睦が目的の会ですので進行は本人たちが担い、式次第もありませんが、結納は儀式ですから決まった順で品を受け渡し、進行は男性側の父親が務めます。やることが増えるのではなく、決めなければならないことが増えるという違い方をしますので、両家で相談する回数がそのまま変わります(最終確認:2026年8月)。
実際にその場に立ってみると、床の間の前に飾られた結納品と、 その横に置かれた白木の台、両家の母親の手元にある受書というように、 物が先にそろっていて、人はその物を運ぶ役を順に務めることになります。
台詞も動きも決まっていますので、当日に何かを判断する場面はほとんどありません。 迷うのはすべて事前の相談のほうに寄っていて、 品目の数をいくつにするか、金額をいくらにするか、誰が費用を持つかを 決め終えてしまえば、当日は台本どおりに進みます。
いま結納をする人はどれくらいか
親から結納の話が出たときに真っ先に気になるのは、 いまどきそれをやっている人がどれくらいいるのかという点で、 少ないのであれば断る材料になりますし、多いのであれば腹をくくる材料になります。
数字はすでに出ていて、婚礼の実態を毎年調べているリクルートの調査では、 結納と顔合わせのどちらを行ったかが項目として立てられており、 その比率は十年ほど前から一貫して顔合わせ側へ傾いています。
| 行ったこと | 割合 |
|---|---|
| 婚約食事会(顔合わせ)のみ | 85.6パーセントで、これがいまの主流にあたります |
| 結納と婚約食事会の両方 | 5.3パーセントにとどまります |
| 結納のみ | 1.7パーセントで、最も少ない形です |
| どちらも行わなかった | 6.8パーセントあり、結納を行った人より多くなります |
| 結納を行った人の合計 | 7.0パーセントで、10人に1人に届きません |
| 実施率の高い地域 | それでも15パーセント程度にとどまります |
結納をする人は、いまでは全体の1割に届きません。リクルートのゼクシィ結婚トレンド調査2024(全国推計値)では、婚約食事会つまり両家の顔合わせだけを行った人が85.6パーセントを占め、結納と食事会の両方を行った人は5.3パーセント、結納だけを行った人は1.7パーセントでした。結納を実施したのは合わせて7パーセントで、実施率の高いエリアでも15パーセント程度にとどまります(最終確認:2026年8月)。
この数字を親に見せると話が早く進むことがありますが、 数字で押し切ろうとすると、かえって話がこじれます。 少数派になったことと、その家がやりたいかどうかは別の問題として動いているためです。
実際に結納を選んだ家の理由を聞くと、けじめをつけたかったという言い方をされることが多く、 婚姻届を出す日の前後に合わせて行ったという例も見られます。 少数派になった行事をあえて選ぶ背景には強い思いがありますので、 割合の話から入るのではなく、まず親が何を望んでいるかを聞いてください。
顔合わせ食事会との違い
結納をやめて顔合わせにしようという話になったときに、 その二つが具体的にどう違うのかを説明できないまま 親に切り出してしまい、押し戻されるという場面がよく起こります。
違いを一つに絞るなら進行を誰が担うかで、 顔合わせは本人たちが司会役を務める親睦の会ですが、 結納は男性側の父親が進行役に立つ儀式ですので、席次も入室の順も決まっています。
| 項目 | 結納と顔合わせの違い |
|---|---|
| 目的 | 結納は婚約を形にする儀式で、顔合わせは両家の親睦です |
| 進行役 | 結納は男性側の父親、顔合わせは本人たちが務めます |
| 式次第 | 結納には決まった順があり、顔合わせにはありません |
| 用意する物 | 結納は結納品と受書が要り、顔合わせは手土産だけで足ります |
| 金品の受け渡し | 結納は必ず伴い、顔合わせでは行わないこともあります |
| 決めることの量 | 結納のほうが多く、両家で相談する回数も増えます |
顔合わせにも金品の受け渡しが混ざることがあります。結納という体裁は取らずに、食事会の席で婚約記念品を交換したり、男性側が金封を差し出したりする形が実際に行われていますので、儀式をやらないことと金銭が動かないことは別に考えてください。受け渡しがあるなら、返礼をどうするかも先に決めておく必要があります(最終確認:2026年8月)。
顔合わせのほうが気楽だと考えて選んだのに、 当日になって相手側が金封を用意していたという行き違いは実際に起きていて、 受け取った側は返す準備をしていないため、その場で困ることになります。
これを避けるには、日取りを決める前の段階で 金品のやりとりをするのかしないのかだけを両家で確かめておくのが確実です。 形式の名前をどう呼ぶかは後からでも決められますが、 当日に何が出てくるかを知らないまま席に着くと、そこから先は取り返しがつきません。
顔合わせ食事会のマナーを見る正式結納と略式結納
結納を行うと決めたあとで次に出てくるのが正式か略式かという言葉で、 正式のほうが丁寧そうに聞こえるため、 どちらを選ぶべきか迷ったまま親に相談することになります。
二つを分けているのは丁寧さの度合いではなく、 両家が同じ部屋で顔を合わせるかどうかという一点で、 正式では仲人が両家を往復して品を運ぶため、そもそも両家は同席しません。
| 形式 | 進め方 |
|---|---|
| 正式結納 | 仲人が両家を行き来し、品を運んで受書を持ち帰ります |
| 略式結納 | 両家が一堂に会し、その場で品を受け渡します |
| 仲人を立てる場合 | 略式でも仲人が進行を担い、口上を代わりに述べます |
| 仲人を立てない場合 | 男性側の父親が進行役に立ち、口上を述べます |
| いま多い形 | 略式で仲人を立てず、両家と本人だけで行う形です |
| 所要時間 | 儀式そのものは20分ほどで、そのあと食事に移ります |
正式結納を選ぶと、仲人を誰に頼むかという問題が先に立ちます。両家を往復して品を運び、受書を持ち帰り、口上まで述べる役ですので、頼まれた側の負担は小さくありませんし、謝礼も要ります。いま行われている結納のほとんどが略式なのは、この頼みごとを避けられるためです(最終確認:2026年8月)。
略式を選ぶと決めたなら、次は関東式か関西式かという枝分かれが待っています。 関東式は両家が同じ格の品を同時に交わす形で、 関西式は男性側が納め、女性側は受書と一割程度の返礼を返す形にあたります。
両家の出身地が違う場合は、この二つが正面からぶつかります。 どちらか一方に合わせる家もあれば、それぞれが地元の品をそろえる家もあり、 正解が決まっているわけではありません。 あとから「本当はこうしたかった」という言葉が出ないよう、 両家の希望を先に並べてから決めてください。
両家で決めること
結納の準備で手が止まるのは、決めることが多いからではなく、 どの順で決めればよいのかが分からないためで、 金額から話し始めると形式が定まらず、話が何度も戻ります。
決める順には型があり、形式を先に固めてから金額へ進むと、 前の決定が後の決定を縛る形になって、話し合いが一方向に流れます。
| 決める順 | 内容 |
|---|---|
| 1|形式 | 正式か略式か、関東式か関西式かを先に決めます |
| 2|品と金額 | 結納品の品目数、結納金、結納返しの額を決めます |
| 3|日取りと場所 | 両家の都合を合わせ、会場と費用の負担を決めます |
| 4|服装 | 両家の装いの格をそろえ、和装か洋装かを合わせます |
| 5|手土産 | 用意するかどうかと、金額の目安をそろえます |
| 6|受書の用意 | どちらが用意するかを、当日までに確かめておきます |
贈る側の意見を先に聞くのが、揉めない進め方にあたります。結納品と結納金は男性側が用意するものですので、その中身と金額は男性側の親の考えが軸になりますし、結納返しは女性側の親が決めることになります。受け取る側が先に希望を言うと、相手側は断りにくくなりますので、二人が間に入って順に伝えてください(最終確認:2026年8月)。
この六つのうち、二人が主導して決めてよいのは日取りと場所と服装で、 品と金額は親の領分として扱うほうが後の関係が穏やかに済みます。 親の世代にとって結納は、自分たちが通ってきた形のある行事だからです。
逆に、二人が間に立たないと止まってしまうのが両家の連絡そのものです。 親同士に面識がない段階では、それぞれが自分の親に聞いて持ち寄るという形で 話を回すことになりますので、二人のあいだで情報がそろっていないと、 片方の親にだけ話が伝わっているという状態が生まれます。
かかる費用の目安
結納をすると決めたあとで気になるのが総額で、 会場費と結納品と結納金がそれぞれ別に動くため、 いくら見ておけばよいのかが調べても分かりにくくなっています。
なかでも会場費は平均と実際に払う額が桁ひとつ分ずれる項目にあたりますので、 発表されている数字をそのまま予算に置くと、 多く見積もりすぎる家と、まるで足りない家の両方が出てきます。
| 費目 | 目安 |
|---|---|
| 会場費(食事を含む) | 全国平均は44万円ですが、5万〜10万円未満が最も多い層です |
| 結納金 | 平均95万2000円で、100万円が選ばれやすい額です |
| 結納品 | 平均19万円で、5万円未満から20万円未満まで広く分かれます |
| 結納返し(現金) | 全国平均は45万2000円で、首都圏では54万円になります |
| 結納返し(品物) | 全国平均は23万5000円で、腕時計やスーツが選ばれます |
| 手土産 | 3,000円から5,000円程度を、両家でそろえます |
会場費だけは、平均を見ても実感がつかめません。ゼクシィ結婚トレンド調査2024(全国推計値)で食事を含めた結納式の費用の全国平均は44万円ですが、いちばん多い価格帯は5万円以上10万円未満で全体の4分の1を占めます。30万円以上と10万円以上15万円未満もそれぞれ2割ほどあり、結納品を用意したかどうかと参加人数で総額が大きく動くため、平均のほうが実態から離れます(最終確認:2026年8月)。
会場費の負担は、女性の実家で行うなら女性側が持つのが一般的ですが、 料亭やホテルを使う場合は折半にする家が多くなります。 遠方から出てくる側には交通費と宿泊費もかかりますので、 そこまで含めて片方に偏らないよう調整してください。
結納金については、金額そのものより用意しないと言い出す側のほうが問題になります。 男性側から「結納金はなしで」と切り出すと、 娘を送り出す側の親からは軽く扱われたように読めてしまいますので、 女性側から不要だと言われない限りは包む方向で準備しておくほうが無難です。
するかしないかの決め方
ここまで読んだうえで残る問いは一つで、 結局うちはやるべきなのかという判断を、 誰の意見を軸にして下せばよいのかが見えてきません。
判断の軸になるのは実施率でも費用でもなく、 強く望んでいる人がどちら側にいるかという点で、 望む人がいない場合にだけ、やらないという結論が自然に出ます。
| 状況 | 進め方 |
|---|---|
| 両家とも希望しない | 顔合わせ食事会だけにして、日取りの相談へ移ります |
| 片方の親が希望する | 希望する側の形式に合わせ、もう一方へ丁寧に伝えます |
| 両家の地域が違う | どちらの式で行うかを、品を用意する前に決めます |
| 本人たちが乗り気でない | 親の希望を聞いたうえで、簡略な形にできるか相談します |
| 遠方で集まりにくい | 顔合わせと同じ日にまとめる形を検討します |
| 判断がつかない | まずそれぞれが自分の親に希望を尋ねてから話し合います |
やらないと決めるときこそ、代わりに何をするかを先に示してください。結納をしないという言い方だけを伝えると、省略された、軽く見られたという受け取り方をされる余地が残りますが、顔合わせ食事会の日取りと場所を添えて伝えれば、話は次へ進みます。形を変えるのであって、無くすのではないという伝え方になります(最終確認:2026年8月)。
親に希望を尋ねるときは、やるかやらないかを最初に聞かないほうがうまくいきます。 「もし結納をするとしたら、どんな形を考えていた?」と尋ねると、 具体的な希望が出てくるか、特にないという答えが返るかで、望みの強さが分かります。
両家の希望が食い違ったまま日取りだけが近づくのがいちばん厄介ですので、 結婚が決まってすぐの段階で、この話だけは済ませておくほうが安全です。 式場を先に決めてしまうと結納の日程を差し込む余地が無くなりますし、 実施の時期としては挙式の13カ月以上前という区分がいちばん多く選ばれています。
結納をしないときの進め方を見る結納をするかしないかに正解は無く、実施率が7パーセントまで下がったいまでも、 けじめをつけたいという理由でこの形を選ぶ家は残っています。 少数派になったこと自体は、やらない理由にも、やる理由にもなりません。
どの場面でも変わらないのは、二人だけで結論を出さないという一点だけで、 それぞれが自分の親に希望を尋ね、その答えを持ち寄ってから決める順にしておけば、 あとから不満が残ることはありません。結納は両家の付き合いの始まりにあたりますので、 ここでの進め方が、そのまま先々の関係の形になっていきます。
結納当日の流れを見るよくある質問
結納をする人はどれくらいいますか?
リクルートのゼクシィ結婚トレンド調査2024(全国推計値)では、結納と顔合わせの両方を行った人が5.3%、結納のみが1.7%で、合わせて7.0%でした。顔合わせだけを行った人が85.6%を占めています。
結納と顔合わせ食事会はどう違いますか?
進行役が違います。結納は男性側の父親が進行する儀式で、決まった順に品を受け渡します。顔合わせは本人たちが進行する親睦の会で、式次第はありません。
結納をしないと失礼になりますか?
実施率は7%ほどですので、しないこと自体が失礼にはあたりません。ただし親が希望している場合は別ですので、まずそれぞれが自分の親に希望を尋ねてください。
正式結納と略式結納の違いは?
両家が同席するかどうかです。正式結納は仲人が両家を往復して品を運ぶため両家は同席せず、略式結納は一堂に会してその場で受け渡します。いまは略式がほとんどです。
結納にはいくらかかりますか?
会場費の全国平均は食事を含めて44万円ですが、最も多い層は5万〜10万円未満です。ほかに結納金が平均95万2000円、結納品が平均19万円かかります。
結納をやる時期はいつごろですか?
挙式の13カ月以上前が21.5%で最も多く、次いで8〜7カ月前が20.7%です。式場を決める前に済ませる人と、準備が動き出してから行う人に分かれています。
両家の地域でしきたりが違うときは?
品を用意する前に、どちらの式で行うかを決めてください。片方に合わせる家もあれば、それぞれが地元の品をそろえる家もあり、正解が決まっているわけではありません。
まとめ
- 結納を行うのは全体の7パーセントにとどまります
- 顔合わせとの違いは進行役が誰かという点にあります
- 決める順は形式 → 金額 → 日取り → 服装にします
- するかしないかは両家の親に希望を尋ねてから決めます
参考情報
- ゼクシィ「116人に調査【最近の結納事情】費用から結納返しまで今どきの傾向を解説!」(データはゼクシィ結婚トレンド調査2024 全国推計値/2025年6月マクロミル会員110人調査/2025年7月時点)
https://zexy.net/article/app000000050/ - リクルート ブライダル総研「ゼクシィ結婚トレンド調査2024」報告書(2024年10月25日発表・全国)
https://souken.zexy.net/data/trend2024/XY_MT24_report.pdf - みんなのウェディング「結納とは?顔合わせとの違い、費用、当日の流れをわかりやすく解説」
https://www.mwed.jp/articles/11260/
本記事で紹介している金額や作法は一般的な目安です。結納は地域と家によるしきたりの差がとりわけ大きい行事ですので、両家の親の考えを先に聞いてください。本記事の内容と食い違う場合は、親から聞いた形に合わせるほうが角が立ちません。