結論

送別会の挨拶は1分から1分半、300字から400字ほどが目安です。 歓迎会より少し長くなりますが、 具体的な出来事を一つ挙げるぶんの長さだと考えれば足ります。

退職と異動とで言い分けるところは一つだけで、 異動なら再会に触れてよく、退職では触れないほうが収まります。 Job総研が社会人386名に尋ねた調査では 「静かに区切りをつけたい」を43.2パーセントが挙げていました。

送別会の挨拶の並び

挨拶を頼まれたとき、まず分からないのは何を話すかよりも、 自分に振られたのが会のどの部分にあたるのかという点で、 開会の言葉と送別の言葉を取り違えると、話す長さも中身も合わなくなります。

送別会が歓迎会と違うのは主役の挨拶が会の終わり近くに来るという点で、 その手前までに送る側の言葉をすべて済ませておく組み立てになりますから、 自分の役目がどこに置かれているかを引き受ける段階で聞いておいてください。

挨拶誰が述べ、どのくらい話すか役目
開会の言葉幹事が30秒ほどで、会の始まりを告げます終了時刻と進行の予定を、あわせて知らせます
送別の言葉いちばん役職の高い方が1分半ほど話しますこれまでの働きに触れ、労いを言葉にします
乾杯の発声2番目の立場の方が30秒で音頭を取ります会を歓談へ移すための、合図にあたります
贈る言葉同僚や後輩が、歓談の途中で1分ほど述べます身近な立場から、具体的な場面を一つ挙げます
主役の挨拶送られる本人が、会の終わり近くに話します本人の言葉で区切りをつける場面にあたります
記念品の贈呈幹事か代表者が、挨拶の直後に短く添えます品を渡し、そのまま締めへつなげます

反対されているのは会そのものではなく、断れないことのほうです。Job総研の調査で送別会文化に反対と答えた140人にその理由を尋ねると、「参加が半強制になりやすい」が46.4パーセントで最多、次いで「本音と建前が乖離しやすい」33.6パーセント、「多様な価値観や時代に合わない」32.9パーセントでした。同じ調査で全体の63.8パーセントは送別会文化に賛成しています。会があること自体は歓迎されていて、断れない空気だけが嫌われているという形です(最終確認:2026年8月)。

送別の言葉はいちばん役職の高い方が述べるのが通例ですが、 主役と直接の関わりが薄い上役に頼んでしまうと 経歴を読み上げるだけの挨拶になってしまうことがありますので、 幹事はあらかじめ具体的な話を一つ渡しておくと形が変わります。

引き受ける側は、その場で長さと順番の二つだけを確かめておいてください。 同じ「一言お願いします」でも乾杯の発声まで含む会と挨拶だけの会とがありますし、 主役の挨拶より前か後かによって、触れてよい話も変わります。

開会の言葉の文例

開会の言葉は幹事が述べるのが通例ですが、 まだ全員が席に着ききっていない時間帯にあたり、 店の物音と話し声が残るなかで切り出すことになりますので、最初の一言に迷います。

この挨拶の役目は会が始まったと全員に知らせることだけにあり、 主役への言葉も労いも、次に話す上役へそのまま任せて差し支えありませんから、 30秒より長く話す必要はどこにもありません。

幹事が述べる開会の言葉(160字前後)

皆様、本日はお忙しいなかお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。ただいまより、□□さんの送別会を始めさせていただきますので、本日の進行を務めます△△と申します私から、簡単に流れをご案内させていただきます。

本日は8時半までを予定しておりまして、会の終わり近くに□□さんからも一言いただく時間を取っております。それでは初めに、部長の◇◇よりご挨拶を頂戴したいと存じますので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。

主役が話す場面があることも、この開会の言葉のなかで先に伝えておいてください。 いつ振られるのか分からないまま2時間座っているのは落ち着かないものですし、 終わり近くだと分かっていれば、本人も飲む量を加減できます。

終了時刻をあわせて伝えておくと、電車の都合がある人が帰る時刻を決められます。 送別会は主役の挨拶と贈呈が終わり近くに来ますので、 途中で帰ると失礼になるのではという気遣いが働きやすい会でもあります。

送別の言葉の文例

送別の言葉を頼まれると、まず何を話せばよいのかというところでつまずきます。 在籍年数と担当してきた仕事を並べるだけでは経歴の読み上げになりますし、 かといって思い出話を始めると、知らない人には通じません。

判断の軸はその場にいる全員が思い当たる出来事を選べるかどうかで、 二人だけの思い出ではなく、部署で共有されている場面を一つ挙げると、 聞いている側にも絵が浮かんで、労いの言葉が通ります。

触れる内容扱いそう考える理由
具体的な出来事部署の全員が思い当たる場面を、一つだけ挙げますここが入るかどうかで、挨拶の印象が大きく変わります
在籍年数と担当一文で触れるにとどめ、経歴を順に並べないでおきます並べるほど、事実の確認のような挨拶になっていきます
労いの言葉これまでの働きに礼を述べ、飾らない言い方にします大げさな賛辞は、本人がその場で受け取りにくくなります
これからのこと異動なら再会に触れ、退職では深追いしないでおきます「静かに区切りをつけたい」を43.2パーセントが挙げています
退職の理由本人が公にしていない事情には、いっさい触れません会の場で明かされると、本人に逃げ場がありません
次の職場の話本人が話した範囲にとどめ、こちらから広げないでおきます同業への転職では、口にしにくい事情がある場合があります

自分が主役の会については、断りたいと考える人のほうが多数派です。Job総研の調査では、自身の送別会を「開いてほしくない派」が53.4パーセントで過半数を占めました。理由は「気を遣わせてしまうのが嫌」が51.0パーセントで最多、次いで「静かに区切りをつけたい」43.2パーセント、「目立つことが苦手」41.3パーセントです。会そのものを否定しているのではなく、人に手間をかけさせることをためらっているという形が読み取れます(最終確認:2026年8月)。

上役が述べる送別の言葉・異動する人へ(350字前後)

ご紹介にあずかりました営業部の◇◇でございますが、本日は来月から大阪支店へ移ることになりました□□さんの送別会ということで、お忙しいなか皆様にお集まりいただきました。

□□さんには5年のあいだ第一課で働いていただきましたが、私がいちばん覚えておりますのは、一昨年の秋にシステムが半日止まってしまったときのことです。あの日は受注の一件ずつを紙で控えることになりましたが、□□さんが真っ先に手順を決めて全員に配ってくださったおかげで、大きな取りこぼしも出さずに翌日には元通り動き出しました。

大阪へ行かれてもやっていることは同じですので、またこちらへ戻られる日を部署の一同で楽しみにお待ちしております。長いあいだ、本当にありがとうございました。

上役が述べる送別の言葉・退職する人へ(340字前後)

ご紹介にあずかりました営業部の◇◇でございますが、本日は今月いっぱいで退職されます□□さんの送別会ということで、このような席を設けさせていただきました。

□□さんは8年のあいだ、この部署でお客様の窓口を担ってこられました。数字に出るところばかりでなく、新しく入った方が最初に相談へ行く先がいつも□□さんの席だったことを、私はよく覚えております。あの席が来月から空くというのは、正直なところ、まだ実感が湧いておりません。

新しい場所でのご活躍を部署の一同でお祈りしておりますので、どうぞお体に気をつけてお過ごしください。長いあいだ、本当にお疲れさまでした。

異動と退職とでは、最後の一文だけを言い分けておくようにしてください。 異動であれば同じ会社のなかで再会の余地がいくらか残っていますが、 退職の相手に「また会える」と言うと、その場では空々しく響くことがあります。

退職の理由そのものには、送る側からいっさい触れないでおいてください。 本人が周囲へどこまで伝えているのかは幹事にも把握しきれませんし、 会の場で理由が明かされると、主役はその場で否定も訂正もできません。

乾杯と、贈呈のときの言葉

乾杯を任されると、送別の場でどのくらい明るく振る舞ってよいのかが分からず、 しんみりした言い方にするか、いつも通りにするかで迷ったまま、 グラスを持って立つことになります。

判断の軸は会の目的が見送りにあるという点で、 湿った空気のまま2時間を過ごしても主役が居心地の悪い思いをするだけですから、 乾杯の一声は、ふだんと同じ調子で出して構いません。

場面言葉の置き方長さの目安
乾杯の前振り名乗り、主役へ一言向けてから発声へ移ります30秒ほどで、思い出話はここでは述べません
乾杯の発声顔を上げ、ふだんと同じ調子で短く一声を出します湿った言い方にすると、そのまま会の空気になります
贈る言葉(同僚)一緒に働いた場面を一つ挙げ、飾らずに述べます1分ほどで、部署の全員が思い当たる場面を選びます
贈る言葉(後輩)教わったことを一つ挙げると、具体的な話になります1分ほどで、感謝の言葉だけで終わらせないでおきます
記念品の贈呈主役の挨拶の直後に渡し、短い一言を添えます15秒ほどで、品の説明を長く述べないでおきます
締めの言葉解散を明確に告げ、二次会があれば案内します30秒ほどで、ここで新しい話題を出しません

贈られて嬉しいものは、形に残らないものが上位を占めます。女の転職typeが働く女性554名に尋ねた調査では、送別の際に贈られて嬉しいものの1位が「ギフト券」で64.4パーセント、次いで花、食べ物・飲み物、日用雑貨と続きました。記念品のように形に残るものより、消耗品や普段使いできるものが選ばれています。「何もいらない」という回答も17.3パーセントありますので、金額を上げれば喜ばれるとは限りません(最終確認:2026年8月)。

乾杯の発声(170字前後)

ご紹介にあずかりました第二課の◎◎でございますが、□□さん、長いあいだ本当にお疲れさまでした。積もる話は歓談の時間にゆっくりうかがうことにいたしまして、まずは乾杯のほうへ移らせていただきます。

本日はどうぞ、皆様ゆっくり召し上がっていただければと存じます。それでは僭越ながら私が音頭を取らせていただきますので、皆様、お手元のグラスをお持ちください——乾杯。

記念品を渡すときの一言(90字前後)

□□さん、部署の一同から心ばかりの品をご用意いたしましたので、どうぞお受け取りください。皆様からの寄せ書きも一緒に入れてありますので、お帰りになってから開けていただければ幸いです。

贈呈のときに、品の説明を長く述べる必要はどこにもありませんし、 その場で開けるかどうかも主役の側に任せて構いません。 持ち帰ってから見るほうが落ち着く人もいますので、 そこは選べる形にしておいてください。

贈る言葉を後輩が述べるのであれば、教わったことを一つ挙げてください。 感謝の言葉だけで終わってしまうと誰の挨拶でも同じ内容になりますが、 具体的な場面が一つ入ると、その人の言葉として届きます。

避けたい言い回し

送別の場では、励ますつもりで出した一言が思わぬところに当たることがあり、 本人が笑って受け流したとしても、 同席していた人のあいだにだけ気まずさが残るという形になります。

避ける判断の軸は本人が訂正できるかどうかで、 公の場で言われたことに対して主役は否定も説明もできませんから、 本人が自分から話していないことは、こちらから出さないのが原則になります。

言い回しなぜ引っかかるのか言い換えるなら
「次はどちらへ?」転職先を明かしていない場合、答えようがありません本人が話した範囲だけを受けて、こちらから尋ねません
「辞めた理由は?」公にしていない事情を、その場で説明させることになります理由には触れず、これまでの働きのほうへ言葉を向けます
「またすぐ会えますね」退職の相手に向けると、その場では空々しく響きます異動なら添えてよく、退職では感謝のほうにとどめます
「これで肩の荷が下りますね」本意でない退職の場合、皮肉のように受け取られます事情を推し量る言い方は避け、労いだけを述べます
家族や年齢に触れる話結婚・出産・介護などは、本人の私事にあたります企業の78.4パーセントが懇親会のハラスメント対策を実施しています
失敗談を持ち出すその場では笑いが起きても、最後の記憶として残ります助けられた場面のほうを、同じ長さで挙げておきます

ハラスメント対策は、いまや職場側の実務になっています。マイナビが企業の中途採用担当者807名に尋ねた調査では、歓迎会や送別会などの懇親会について78.4パーセントが何らかのハラスメント対策を実施していると答えました。内訳はセクシャルハラスメントへの対策が61.8パーセント、パワーハラスメントへの対策が61.5パーセントです。一方でアルコールハラスメントへの対策は、この2つほど進んでいません。飲めない人に飲ませない配慮は、いまのところ現場の判断に委ねられている部分が大きいところです(最終確認:2026年8月)。

失敗談は笑いを取りやすいぶんだけ、扱いに気をつけておいてください。 その場は和みますが、送別会は職場で顔を合わせる最後の場面にあたりますし、 最後に語られたことは、そのまま記憶に残ります。

家族や年齢に触れる話も、長く一緒に働いた相手であるほど出やすいところです。 マイナビの調査では企業の78.4パーセントが懇親会のハラスメント対策を実施していますので、 その場の親しさだけを頼りに判断しないでください。

送別会の挨拶に決まった型があるわけではなく、 職場によって並びも長さも違いますし、 乾杯を若手に振る会も、贈る言葉を何人も立てる会もあります。 用意した文章をそのまま読み上げなければならない場面は、実際にはほとんどありません。

どの役目であっても変わらないのは、具体的な出来事を一つだけ挙げるという一点です。 その一つが入っていれば、言葉が多少ぎこちなくても届きますので、 飾った言い回しを探すより、覚えている場面を思い出すほうが早く済みます。

よくある質問

送別会の挨拶は、どのくらいの長さがよいですか。

1分から1分半、300字から400字ほどが目安です。歓迎会より少し長くなりますが、具体的な出来事を一つ挙げるぶんの長さだと考えれば足ります。開会の言葉と乾杯の発声は30秒ほどで構いません。

送別の言葉では何を話せばよいですか。

部署の全員が思い当たる出来事を一つ挙げてください。在籍年数と担当を並べるだけでは経歴の読み上げになりますし、二人だけの思い出話は知らない人に通じません。共有されている場面を選ぶと、聞いている側にも絵が浮かびます。

退職する人と異動する人で、言い方を変えるべきですか。

最後の一文だけ言い分けてください。異動であれば同じ会社のなかで再会の余地が残っていますが、退職の相手に「また会える」と言うと空々しく響くことがあります。退職では感謝のほうにとどめてください。

退職の理由に触れてもよいですか。

触れないでください。本人が周囲へ伝えている範囲は幹事にも把握しきれませんし、会の場で理由が明かされると主役はその場で否定も訂正もできません。転職先についても、本人が話した範囲を超えて尋ねないでください。

乾杯はしんみりした言い方にするべきですか。

ふだんと同じ調子で構いません。湿った空気のまま2時間を過ごしても、主役が居心地の悪い思いをするだけです。積もる話は歓談の時間へ回すと述べて、短く発声へ移ってください。

記念品を渡すときは何と言えばよいですか。

15秒ほどで足ります。品の説明を長く述べる必要はなく、その場で開けるかどうかは主役に任せてください。持ち帰ってから見るほうが落ち着く人もいます。

失敗談で笑いを取ってもよいですか。

扱いに気をつけてください。その場は和みますが、送別会は職場で顔を合わせる最後の場面にあたり、最後に語られたことはそのまま記憶に残ります。助けられた場面のほうを、同じ長さで挙げておいてください。

まとめ

  • 挨拶は1分から1分半、300字から400字ほどで足ります
  • 送別の言葉には部署の全員が思い当たる出来事を一つ入れます
  • 在籍年数と担当は一文で触れるにとどめ、経歴を並べません
  • 異動なら再会に触れてよく、退職では感謝のほうにとどめます
  • 退職の理由と次の職場には、こちらから触れないでおきます
  • 乾杯はふだんと同じ調子で、湿った言い方にしません
  • 記念品の贈呈は主役の挨拶の直後に、15秒ほどで添えます
  • 失敗談・家族・年齢の話は、最後の記憶に残るため避けます

参考情報

  1. チムニー「忘年会の挨拶の基本と例文まとめ|開会・乾杯・締め・閉会の流れを徹底解説」
    https://www.chimney.co.jp/campaign/bounenkai-aisatsu/
  2. マイナビ キャリアリサーチLab「【正社員2万人に聞いた】歓迎会に関する意識調査2026年」(正社員21,798名・企業の中途採用担当者807名/2026年1月5日〜8日・インターネット調査)
    https://career-research.mynavi.jp/reserch/20260312_108023/
  3. Job総研(パーソルキャリア)「2026年 送別会意識調査」(現在就業中の20〜50代の男女386名/2026年2月11日〜16日・インターネット調査)
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000272.000013597.html

挨拶の長さと順番に公的な基準はなく、宴会場・飲食各社の解説に共通する形をまとめています。文例はいずれも本記事のために書き起こしたもので、部署名・人名・出来事は仮のものです。主役の意向に関する数字はJob総研(パーソルキャリア)「2026年 送別会意識調査」(現在就業中の20〜50代の男女386名/2026年2月11日〜16日)によります。自身の送別会を「開いてほしくない」が53.4パーセント、理由は「気を遣わせてしまうのが嫌」51.0パーセント・「静かに区切りをつけたい」43.2パーセント・「目立つことが苦手」41.3パーセントでした。ハラスメント対策の数字はマイナビ(企業の中途採用担当者807名/2026年1月)によるもので、懇親会の対策を実施している企業は78.4パーセントです。(最終確認:2026年8月)

本記事で紹介している進め方や金額は一般的な目安です。歓送迎会に決まった型はなく、会社・部署・業種によって慣習が大きく異なります。前年までのやり方がある場合は、そちらに合わせるほうが角が立ちません。迷ったときは、前年の幹事か直属の上司に確かめてください。